有料会員登録で全ての記事がお読みいただけます

危険な「階段事故」を防ぐ、高齢者にやさしいリフォーム

危険な「階段事故」を防ぐ、高齢者にやさしいリフォーム

このエントリーをはてなブックマークに追加

室内階段での転倒、転落は、とくに高齢者では重症事故につながる危険が高い。階段の昇り降りの負担を減らし、安全に移動できる工夫が必要だ。今回は階段事故を防ぐ、高齢者にやさしいリフォームポイントを紹介する。

階段事故は2割近く、重傷になりやすい

 高齢者の家庭内事故の多くが、階段での転落や廊下での転倒が原因で起こっている。国民生活センターは今年3月、「医療機関ネットワーク事業から見た家庭内事故―高齢者編―」を発表した。それによると、65歳以上の高齢者の事故の、じつに8割近くが住宅内で発生している。

 事故発生場所は「居室」が45.0%、「階段」18.7%、「台所・食堂」17.0%が上位を占める。事故の内容は、「転落」が最も多く、「転倒」と合わせると半数以上を占める。

家庭内事故の内容(65歳以上)
■家庭内事故の内容(65歳以上)
転落30.4%が最も多く、階段などの段差から足を滑らせての転落が多いと予想される。次いで転倒22.1%が多い。65歳未満と比べ、転落、転倒の割合が圧倒的に高い。

 その中でも、「階段」での転落、転倒によるけがが最も多い。特に75歳以上では骨折するケースが増え、予後の不具合、寝たきりの原因にもなりやすい。転落の危険を避けるため、高齢者の生活空間を1階にする家庭が多いのが実情だろう。住宅の日当たりや周辺の環境によっては、2階の方が快適な生活ができる場合もある。階段の昇り降りの不安を解消し、できるだけ安全に移動できるように配慮することが大切だ。

手軽な滑り止め材、階段昇降機も操作簡単

 階段の安全対策で最も手軽にできるのが、階段のステップ先端に滑り止め材を付けること。川口技研(埼玉県川口市)の「スベラーズ」は、室内用と屋外用をそろえている。室内用は、消灯や停電時に一時的に光る蓄光性微光ラインがついている。薄暗い中でも階段の段差が分かるので、視力の弱い高齢者にも安心だ。

スベラーズ(川口技研)
■スベラーズ(川口技研)
階段滑り止め材は、階段の転落、転倒防止に役立つ。万が一、転倒しても当たりをやわらげるコーナークッションも付いている。

 階段の昇り降りが困難な場合は、階段昇降機を使うと安全に移動できる。ティッセンクルップ・アクセス・ジャパン(東京都港区)の階段昇降機は、洗練されたデザインで機能性も高い。直線型階段昇降機なら、約4日で設置が可能。イスを使用しない際には小さく折り畳め、場所を取らないのが特徴だ。

直線型階段昇降機レバント(ティッセンクルップアクセス・ジャパン)
■直線型階段昇降機レバント(ティッセンクルップアクセス・ジャパン)
ほとんどの直線階段に設置可能な昇降機。操作方法も簡単で、安全機能も充実している。

家族全員に便利なホームエレベーター

 高齢者にはもちろん、家族全員に便利なのがホームエレベーターだ。家事を担う主婦は洗濯物の移動や、2階のふとん干しの際にも利用できる。空いた子供部屋を書斎にしたり、日差しの明るい2階をリビングにして来客を招いたりと、2階を活用したライフスタイルを実現できる。

 パナソニックホームエレベーター(大阪府門真市)は、上下階の移動のバリアをなくす"フロアフリー"を提案している。平屋を移動するように、上下階を移動できるのは、ホームエレベーターならではの効果だ。最近は、安全性やデザイン性、快適性も向上している。

 ただ、リフォームの場合、ホームエレベーターの設置には、いくつかの制約がある。特に築年数の古い木造住宅では、エレベーターの基礎部分の工事が大掛かりになる。また、建物の構造の安全確認が必要になり、場合によっては設置を断念するケースも出ていた。これらの問題をクリアしたのが、パナソニックホームエレベーターの、リフォーム専用ホームエレベーターだ。

リフォーム専用ホームエレベーター(パナソニックホームエレベーター)
■リフォーム専用ホームエレベーター(パナソニックホームエレベーター)
乗り降りしやすい設計で車椅子を使用可
自立鉄塔付きで負担を軽減
■自立鉄塔付きで負担を軽減
鉄塔が既存建物と切り離されているため、水平力が加わらない。

1間ですむ省スペース
■1間ですむ省スペース
1間スペースに設置可能。2人乗りスペースに3人乗れる

 まず駆動ユニットを小型化したことで、住宅床下の基礎工事の省施工化を実現。既存の住宅に過重負担をかけない「自立鉄塔」付きなので、対応可能な住宅の幅がさらに広がった。

 省スペース化も進んでいる。1間スペースに3人乗り用が設置できるので、住宅内の物置などを利用して気軽に設置することができる。

 同社がユーザーに対して行ったアンケート調査によると、ホームエレベーター設置の理由は「将来に備えて」が7割だった。車椅子や介護が必要になることを想定し、「元気なうちにリフォームしておこう」というシニア層の思いがうかがえる。

 階段事故の悲劇をなくし、健康で快適なシニアライフを応援するリフォームを提案していきたい。

毎日ニュース配信中!リーフォーム産業新聞公式LINE

リフォーム産業新聞社の関連サイト

閉じる