なるほど消費者ニーズ Lesson.1
「住まいで重視すること」
家にどのくらいの「重き」を置くか、そして、何を重視するのか―――。
これは、個人の価値によるところが大きい。また、リフォームにおいては、新築のそれと比べて個人の志向が反映されるため、とてもユニークで興味深い。
マンションの個人宅とは思えない仕上がりに
東京都文京区にお住まいだったMさんは、もともとは"賃貸派"の30代のDINKS。広告業界とCM制作会社にお勤めで、ご夫婦ともにお忙しい毎日のため、癒しを求めて温泉に旅行に出かけることが多かったという。「味気ないユニットバスにはゆっくり漬かる気がせず、もっぱら家では"シャワー派"でした」(夫)
家に対するこだわりは「ルーフバルコニー」のある家。サイト上でこの条件で賃貸物件を検索したが、希望していた文京区近辺では「対象0件」...。そこで台東区から徐々に品川区まで広げ、賃貸のみならず購入まで検討範囲を広げたら、広さと価格の点で納得がいく中古マンションが見つかったため、問い合わせをしたのが、リフォームの第一歩だった。
住空間には興味があったため、よくリフォーム会社やリノベーション会社のサイトをのぞいていたというMさんご夫婦。リフォームにあたっては「無垢材を使いたい」という要望に始まり、「ステンレスのヘアラインのキッチン」「ドイツのキッチンメーカーのBBQグリル」「マンガがたくさんあるので可動式の書庫をつくりたい」など、具体的な要望がわいてきたという。
そんな中、夫が一番こだわったのが、"風呂"だ。「本気で、シャワー室だけでいいと、最初は思っていたのですが、このお風呂に出会って、一変しました」というMさん。選んだのは、十和田石とヒノキをつかった浴槽。FRPに職人の手で石を張って仕上げたもので、石の深い色と凛とした木の框の直線が旅館の内風呂を彷彿とさせる。スペースを広げてもともとキッチンがあった場所に配したため、窓から光も入り、その写真を見る限り「マンションの個人宅のお風呂」とは信じ難い仕上がりとなった。
「お湯に濡れた十和田石の色は青みを増して、より深い色になります。ヒノキの肌触りや香りも自宅で楽しむことができて...思わずふぅーっとため息がもれますね」
リフォームをすることで手にすることができるのは、素敵な空間、ここちよい時間。そしてときに家と向き合って初めて気づく、"思いもよらなかった暮らし"なのだと感じた出会いだった。
SUUMOリフォーム 編集長 福澤佳恵氏
2003年、大学卒業後、株式会社リクルート(現:リクルート住まいカンパニー)に入社。注文住宅領域にてFC/工務店の営業を担当。『東京で家を建てる』『栃木で家を建てる』などの創刊営業を経験。
2006年、編集に異動。『HOUSING』『注文住宅シリーズ』『憧れの輸入住宅を建てる』を担当。
2011年、『住まいの設備を選ぶ本』編集長。
2012年4月より現職。
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