15万物件の情報有する「物件管理システム」導入
タカラスタンダード(大阪府大阪市、渡辺岳夫社長)はこのほど、東京と大阪でお得意様新春懇談会を開催、両会場合わせて約1100人が出席した。渡辺社長は、「2020年度の売上高2000億円達成のためにはリフォーム売り上げの拡大が絶対必要条件」と話し、リフォーム需要の獲得に全力で取り組む決意を示した。
リフォーム売り上げ拡大の戦略を発表する渡辺社長
「成長のチャンスはある」
冒頭で渡辺社長は、今後の住宅需要の見通しについて、「昨年の新築着工件数は超低金利の恩恵で、約97万戸とかなり高水準だった。今年も90万戸台になるだろう。しかし新築市場が堅調なのは2018年くらいまでで、その後は縮小していく」と予測。
リフォームについては「団塊の世代のリフォーム市場は縮小していると私は見ている。リフォームに対する心理的ハードルを乗り越えてユーザーにリフォームを決断させるには、我々の相当な努力が必要。先行きは厳しいが成長のチャンスはある。特にリフォームは約5000万戸の住宅ストックがあり、膨大な潜在需要が眠っているのは間違いない」と話した。
31期連続増収増益
次に渡辺社長は、創業から105年となった同社が、ホーローを武器に水まわり機器トップメーカーの1つに成長するまでの歴史を振り返った。
同社は1912年、日本エナメル株式会社という企業名で創業。以来、日本のホーロー業界のリーディングカンパニーとして発展を続けるが、戦後に状況が一変し、一時は経営難に陥った。そこで急拡大していた住設機器流し台業界に参入し、31期連続増収増益を成し遂げた。
その理由として渡辺社長は、一昨年亡くなった父親の渡辺六郎氏が打ち立てた商品戦略、販売戦略、価格戦略の3つが極めて斬新であったことを挙げた。
商品戦略は、商品の差別化、すなわちホーロー流し台の商品化だ。「ホーローと流し台の組み合わせにより、まったく新しいカテゴリーの商品を生み出すことができた。今でいう商品イノベーションだ」(同社長)
2つ目の販売戦略は、ショールームを使った「見せて売る」販売手法の確立。エンドユーザーが自分で商品を選ぶ時代に変わっていく中で、他社に先駆けて全国にショールームを配置したことが販売上の大きなアドバンテージになった。
3つ目の価格戦略は、透明性の高い価格設定。実勢価格に近い定価設定、全国一律の卸価格は「当時の業界の常識に真っ向から反するような戦略だった」(同社長)。ホーロー製水まわり機器という差別化商品を中心にして、商品、販売、価格の各戦略が三位一体となった同社独自のビジネスモデルが構築された。
ホーローの商品力強化
ところが1997年、大手金融機関の破たんによる景気悪化などの理由で、同社の増収増益連続記録がストップする。そこで次なる成長のけん引役に選んだのが「マンション向け事業の強化」だった。
同社はこの分野で「効率性」「正確性」「コスト競争力」の3本柱を構築。
「各支店に営業部隊のみならず設計部隊を配置して営業と設計を一体化させ、専門集団化することでマンション特有のノウハウが体系的に蓄積された」
また早い段階から大型倉庫の整備に着手。全国のマンション物件に正確な製品供給を可能にした。

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1660号(2025/08/11発行)5面
-
1660号(2025/08/11発行)5面
-
1660号(2025/08/11発行)3面
-
1660号(2025/08/11発行)4面
-
1659号(2025/08/04発行)17面