TOTO(福岡県北九州市)が製造・販売するトイレの最上位シリーズ「ネオレスト」が今年4月に発売30周年を迎えた。商品名に「新しい(Neo)トイレ(Rest-room)」という意味が込められた「ネオレスト」は、テクノロジーとデザインの両面で新しい文化を創造し続けてきた。これまでの歩みと昨年発売された最新モデル「ネオレストLS」の開発秘話を聞いた。
今年4月に発売30周年を迎えた「ネオレスト」
この方々に話を聞きました
- ネオレスト販売担当
レスト住宅商品営業G
五十嵐優子氏 - ネオレストデザイン担当
第二デザインマーケティングG
大塚航生氏 - ネオレストウォシュレット開発担当
商品開発第一G
平憲作氏
「トイレは美しくしていいんだ」−ネオレストで新しい価値を提供する
─ 30年前、ネオレストはどのように誕生したのか教えてください。
五十嵐氏:「便器でない便器をつくれ」をテーマに、研究所と事業部が一体となってスタートした「THE BENKI プロジェクト」がネオレストの始まりです。今までにない便器を考えるのにあたって、そもそもに立ち返り、どう水が流れるのか、実験用に透明な樹脂管を使うことで「水の流れの可視化」にも取り組みました。
トイレをどうしたいか?と考える中で日本だけでなく世界でも通用するトイレを考えたい。そのために求められたのは節水とデザインの両立でした。大幅な節水とローシルエットデザインを両立するとなると、タンク式では成立しません。そこでタンク式をやめ、新たな洗浄方式「シーケンシャルバルブ方式」を開発。水の流れを制御することで、少ない水でも洗浄することができるようになりました。そして、沢山あるウォシュレット部品を本体に収めながらも、どういったデザインにするか、試行錯誤を重ね、「クリーン」「シームレス」「ノイズレス」なデザインを実現しました。これが1993年に発売されたネオレストのはじまりであるTOTO初のタンクレストイレ「ネオレストEX」です。そこからさまざまな技術を導入しながら、30年間進化させ続けてきました。
TOTO初のタンクレストイレ「ネオレストEX」
─ ネオレストシリーズを開発する上で、揺るがない軸となっている想いはどのようなものでしょうか。
大塚氏:お客様に新しい価値を世界最先端の技術とデザインで提供するという思いで開発していて、デザインとテクノロジーの高度な融合にこだわっています。トイレは美しくしていいんだと気づかせるのがネオレストの役割だという話をしています。そういうところから最新のインテリアのトレンドがどうなっているのか、今後どうなっていくのだろうか、そしてネオレストにどういう要素を取り入れるべきか議論しています。
ネオレストのブランドメッセージは「PURE LUXURY(ピュアラグジュアリー)」。心と体を健やかに整え、心まで満たされる空間へと導いてくトイレを目指しています。
「PURE LUXURY(ピュアラグジュアリー)」をブランドメッセージに掲げているネオレストシリーズ
─ なるほど。「ネオレスト」の名前にふさわしく、トイレへの固定観念を覆すような新しいトイレですね。
平氏:他の商品だとお客様の満足をさらに向上させるための改善をすることが多いのですが、ネオレストに関しては、これからどういう空間にしていくべきかこちらからお客様に仕掛けていく。先を行くトイレを提案しています。
横から見た美しさや継ぎ目のない便器形状、新しい挑戦が詰まった「ネオレストLS」
─ まさに「ネオレストLS」のサイドビューは、トイレを横から見た際の美しさにこだわるという新しい発想です。
大塚氏:洗面・浴槽・トイレが1つの空間に入っている「スリー・イン・ワン」が海外のホテルだと当たり前です。日本のトイレでも正面からの見た目でなく、側面の美しさにもこだわって死角がなくなったらどうなるかというところからデザインが生まれました。
昨年8月に発売した「ネオレストLS」
─ 金属調のアクセントカラーが印象的です。
大塚氏:海外は石やタイルの硬質な素材が潤沢に使われている空間が多く、金属のカラーをまとめるコーディネートもトレンドなので、そういう要素を取り入れたいと思いました。デザインのテーマは優美さ。1日の終わりにお気に入りのものに囲まれる空間や時間を想像しながらデザインの要素をあぶり出し、曲線や造形から心地よさを感じるデザインに仕上げました。
金属調のアクセントカラーが美しいサイドビュー
─ アクセントカラーはニッケルとブラックがあり、水栓金具やリモコン、紙巻器までコーディネートできます。
大塚氏:カラーを連動させることによって空間の上質さが引き上がります。
五十嵐氏:「ネオレストLS」のデザインに一目惚れしたというお客様が、トータルコーディネートできることに魅力を感じてくださり、空間ごと変えようというケースもあります。
─ 便器部に継ぎ目がない形状も美しいですね。
大塚氏:「クリーン」「シームレス」「ノイズレス」は絶対に外せない要素です。なぜこだわっているかというと、トイレを見た瞬間に隙間があるとデザインの評価が下がるんです。お掃除しやすいかどうかの第一印象が重要だからです。まずは清潔感が土台にありながら、美しさやデザイン的要素を入れるようにしています。
─ 便器が全て陶器というのも実現するために苦労したのではないですか。
平氏:水と土を混ぜて泥にして、それを型に流し込んで形を作り、そこから乾燥と焼成を経て陶器になるのですが、乾燥と焼成の際に13%収縮します。狙いの形状にするのが難しく、しかも直線基調になっているので歪みを認識しやすい。かなり試作を繰り返しました。「ネオレストLS」ほど新しい挑戦が詰まった商品も珍しいです。
技術者がつないだ30年、これからも他社にはないトイレを提案
─ それもTOTOの技術があってこそですね。技術といえば、新機能の「便座きれい」も搭載しています。
平氏:トイレ使用後に「きれい除菌水(※)」を便座裏の先端部分にふきかけ、汚れを漂白・除菌する機能です。便座裏の尿はね汚れが気になるというお客様の声があがっていたのですが、対応できていなかったので開発に至りました。きれい除菌水を作る技術、微細なミストを作る技術、そしてミストを気流に乗せて便座裏まで届ける技術によって成り立っています。
※きれい除菌水は、汚れを抑制するもので清掃不要になるものではありません。
※漂白・除菌効果は実使用での実証結果ではありません。
※すべての菌を除菌できるわけではありません。
便座裏の先端部分に「きれい除菌水」をふきかける「便座きれい」
─ デザインも刷新し、新機能も搭載。ハードルがあったのではないでしょうか。
平氏:ウォシュレットの中に数百もの部品が詰まっています。今回、新しい機能を載せながらデザインを実現するために1つ1つの部品を見直して小型化と収納を考え直しました。
─ ネオレストへの並々ならぬ情熱を感じました。最後に今後のネオレストに懸ける想いを聞かせてください。
大塚氏:海外を見てもトイレよりも水栓金具が空間の主役になる世界です。それは逆にいうとトイレにこだわれないのだと思います。TOTOは、トイレがこんなに美しくてもいいんだとこだわれる唯一の会社だと自負しています。他社にないトイレを提案していかないといけないと思っています。
平氏:今回のネオレストも自信を持って提案できる商品です。でも、まだまだ進化できると思っているので、これからもお客様に喜んでいただけるような商品をつくっていきたいです。
五十嵐氏:30周年を迎えるにあたって30年前の開発者にも話を聞きました。何もないところから挑戦し、苦労してきた話も聞いています。クリーンとデザインの進化を突き詰めていった技術者のこだわりが今を支えていると実感しました。進化をつづけるネオレストを、これからもより多くのお客様へお届けしたいです。
ネオレスト30周年特設サイトはこちら
https://jp.toto.com/pages/knowledge/campaign/neorest30/
東陶屋ネオレストページはこちら
この記事の関連キーワード : PR TOTO トイレ ネオレスト ワンランクアップ商品
最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1632号(2025/01/13発行)4面
-
1631号(2025/01/06発行)22面
-
1631号(2025/01/06発行)14面、15面
-
1631号(2025/01/06発行)21面
-
1631号(2025/01/06発行)21面