キッチンは時代の移り変わりと共に、形を変えて発展してきた。近頃はリビングの一角を占めるようになり、インテリアとの調和が求められている。刻々と変化する住宅マーケットのなかでキッチンは今後、どのような役割を担い進化していくのか。LIXILデザインセンター小川裕也氏に話を聞いた。
家具のようなキッチンが主流
LIXILのハイグレードシステムキッチン「リシェル」
最近のキッチンはダイニングの奥にあるものではなく、家族が集うリビングに配置されるのが当たり前になってきた。ダイニングとリビングが一体化した現在、キッチンは家具の一部として認識されつつある。こうした背景には、ライフスタイルの変化がある。内閣府の「男女共同参画白書令和6年版」によれば、共働き世帯は約75%に達している。家事の時間が少なくなり、より効率化や合理化が求められるようになった。特にここ10年は、作業効率のよいレイアウトや機能が求められてきた。その一方で、効率化を追求して多機能になるとさまざまなアイテムが増えて複雑となり、清掃性が損なわれる側面もあった。
時代の背景に合わせLIXILではキッチンをシンプルにすることで効率化を高め、清掃性を向上している。特に、水栓やシンクは清掃性が求められるためだ。機能性と清掃性を追求し、ハンドルに触れずに水が出せるハンズフリーやタッチレスの水栓を開発してきた。 近年は、キッチンのデザインにも変化が見える。既存のキッチンはステンレス製で清掃性が良いものの、いかにも住宅設備といった外観をしているケースが多い。機能的で見栄えはするのだが、金属のピカピカした感じが今の住宅にはなじまない。つまり、従来のキッチンはデザインよりも機能を重視してきた傾向がある。
小川裕也氏は最近のキッチンデザインの方向性を次のように説明する。「『いかにも住宅設備』といった部分を徐々になくしています。余分なものを削ぎ落としていくと最終的にはミニマルな形状になり、家具らしさが出てきます」

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