トイレなどの水まわりの位置を変えるとき、「排水圧送ポンプ」を使うと排水がスムーズになる。欧米では、住宅やビルで広く普及しているが、日本ではまだなじみがない。日本市場への本格参入を目指し、業界最大手SFAのCOO(最高執行責任者)アルノー・コルビエ氏が今後の事業展開について語った。
欧米ではトイレの増設は一般的
欧米では、家族の人数や住宅の規模に応じて、トイレやバスルームを増設するのが一般的だ。夜間でも使いやすいように、子供部屋やゲストルームの近くには専用のトイレがある。排水圧送ポンプを使えば、トイレを付けられることが、広く知られている。
「当社の排水圧送ポンプは、世界で毎年50万台が売れています。排水、粉砕の性能は確かです。フランスで60年前に開発されてから、累計600万台の販売実績があります。この製品の良さを、日本の皆さんにもぜひ知っていただきたいのです」
旭SFAポンプを使うと施工も撤去も簡単な介護用トイレ
今後は介護リフォームが増加
コルビエ氏が注目しているのが、日本の高齢者住宅市場だ。日本では、高齢化が急速に進み、今や4人に1人が65歳以上の高齢者になった。
「日本の65歳以上の高齢者人口は、3000万人を超えていますね。75歳を過ぎると、どうしても足腰が弱り、ベッドからトイレへの移動が困難になります。SFAポンプを使うと、ベッドサイドトイレが簡単に設置でき、メリットも多いことを、日本のシニア層に知っていただきたいのです」
これまでは寝室に設置するのはポータブルトイレが圧倒的に多かった。しかし、1日に数回のバケツ処理が必要になり、介護者の負担になっていた。
「排水圧送ポンプを使うと、ベッドの横に水洗トイレが簡単に設置できます。ベッドの近くにトイレがあれば、移動が楽なので、高齢者が自分で用を足すこともできます。また、水洗トイレなら汚物の処理の必要はなくなり、臭いの心配もありません」
リノベーションにも活路
もう1つの注目市場が、30代の若者に人気のリノベーションだ。排水圧送ポンプを使えば、住宅の構造を気にせず水回り機器をつけることができる。また、自由な排水レイアウトをすることも可能だ。
「日本の住宅市場にも、新しいトレンドが生まれつつあります。そこに焦点を当てた戦略が必要です。イノベーティブ(革新的)なアイデアを持つユーザーなら、当社のポンプのメリットをお分かりいただけると思います」今後は、エンドユーザーへのPRを強化。1月末から2月にかけて、全国紙に広告を掲載する。
「取引先の建材商社にご協力いただき、東京都内にショールームを開設しました。設置に不安がある人には、最初の工事に限り、技術担当者が現場に立ち合う施工サポートを行っています」
日本の住宅市場の変化をきっかけに、国内のリフォーム市場でも排水圧送ポンプのシェアが欧米並みに拡大する。そんなグローバル戦略を描きながら、コルビエ氏は日本市場への進出に力を注いでいる。

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