<住宅設備・建材マーケットに激震を走らせている住生活グループの業界再編。その最大の注目点とされていた基幹会社LIXILの新役員人事が、このほど発表された。大方の予想通り、トステム主導の体制が見えて来たが、同時にグループが抱える問題点なども浮き彫りにされている。
球団買収の白紙を機に主要企業の合併を発表
昨年10月、それまで一般には全く知られていなかったLIXILの名が一躍世に知れ渡ったのは、プロ野球団ベイスターズ買収を巡る騒動だった。結局、すったもんだの末、同社による球団買収は白紙になったが、この事件をキッカケに、一気に動き出したのが、当のLIXIL合併であった。
住生活グループは今から10年前、INAXとトステムが共同持ち株会社を作ることでスタート。以後、傘下の企業を増やしつつ今に至っているが、これまではあくまでホールディングカンパニー制による事業統合で、各企業は独立していた。
ところが球団買収が白紙になったわずか4日後、同社の潮田洋一郎会長は記者会見を開き、グループ主要会社の合併による新会社LIXILの誕生を発表。球団経営によるブランド戦略が不可能になったため、合併という新たなステージが必要になったというわけだ。だが、これまで同グループの動きを静観していた関係者の中でも、さすがに合併に対しては、様々な波紋の声が広がっていた。そして今回の人事発表によって、さらにその波紋は大きくなっている。
新社長に就任する杉野氏 2ヵ月で退任し相談役に
2001年の発足以来、住生活グループではINAXとトステムの両社から同人数の取締役が選ばれてきた。あくまで2社対等という基本を守っているものだ。 今回発足する新会社LIXILも、会長にトステムの潮田氏、社長はINAXの杉野正博氏、そして上席副社長にもトステムの大竹俊夫氏、INAXの川本隆一氏、というバランス人事だが、トステム出身者にはもう一人金森良純氏が専務に就任予定で、この時点で2社のバランスはすでに崩れている。さらにトップ人事の注釈を見ると20114月に社長に就任する杉野氏は、わずか2ヵ月後の6月には、相談役に退くことが決まっているのだ。
6月以降も杉野氏は取締役に留まる予定だが、影響力という点から考えても、実質的にはINAX出身の役員は川本氏1人になるのに近い。しかも、杉野氏の後任の社長に誰がなるかが問題だ。

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