【特集】増える未婚者、リフォーム市場への影響は？契約者の半数超が「単身女性」のリノベ会社も

男性の約4人に1人、女性の約7人に1人が一生独身という時代に突入している。50歳時の未婚率（45～49歳と50～54歳における未婚率の平均値から算出）は、1980年から2015年にかけ、男性は2.6%から23.37％、女性は4.45％から14.06％に上昇（出典：人口統計資料集2021年版）。ファミリー層が減っていくなかで、リフォーム市場には影響があるのか。

【リポート／編集部 後藤梓】

1) 婚姻件数、前年から7万3500組減少

令和2年国勢調査によると、2020年の単身世帯は2115万1000世帯で、2015年から14.8％増となっている。夫婦のみ、夫婦と子供から成る世帯、ひとり親と子供から成る世帯、その他の世帯といった一般世帯の中で、単身世帯が占める割合は、34.6％から38.1％に上昇した。

単身世帯の実態を知るには、婚姻に関するデータをひも解く必要がある。

2020年の婚姻件数（現在婚姻している件数ではなく、該当年において婚姻した値）は52万5507組で、前年の59万9007組より7万3500組減少した。また人口1000人あたりの婚姻率は4.3％で、前年の4.8％より低下している（出典：令和2年人口動態統計 ）。

単身者には離婚した人も含まれている。だが年間離婚件数のピークは2002年の28万9836組で、最新の2020年は19万3253組だ。緩やかな減少傾向が続いていることから、単身者の増加は、婚姻件数の減少がより後押ししていると分析できる（出典：令和2年人口動態統計 ）。

2) 単身世帯が中古リノベも
～ジョンソンホームズのワンストップリノベ、契約者の約9割が「単身女性」～

趣味であるピアノを弾けるスペースを設けた事例

未婚化が進み単身世帯が増えている流れを読み、10年前から単身世帯に向けたアプローチに取り組むのが、ジョンソンホームズ（北海道札幌市）だ。年間約7億円を売り上げる中古マンションの仲介とリノベのワンストップサービスブランド「M＋（エムプラス）」では、前期の工事件数58件中、34件が単身世帯による一人暮らし用の住宅が欲しいという依頼だった。例年は4〜5割だが、初の5割超えに。 単身の9割以上が30～40代の女性。1000万～1100万円と高額の工事単価のため、現役でバリバリ働く最中の世代になる。

「皆さんお役所など硬い職場に勤めている印象ですが、大半を占めるのは看護師の方です。年収が高いですし、激務で忙しいので外に出る趣味ではなく普段の暮らしにお金をかけたいのではと推測しています。病院を周って販促したいほどの多さです」とエムプラス事業部の谷本泰マネージャーは単身者の特徴を語る。

リノベーションは、グレードの高い住宅設備を選ぶより「書斎を持ちたい」や「ダーツをするスペースが欲しい」など自宅で自分の趣味を楽しめる空間にすべく、費用をかけるのが特徴だ。また7〜8割の確率で土間を採用し、広めのウォークインクローゼットやシューズクローゼットも人気を博す。居住人数が多いと家事動線がより考慮される中、単身の場合は自分の好きな衣服やキャンプ用品のグッズを多く持ち、収納場所を確保したいニーズが強い。

ジョンソンホームズ　エムプラス事業部
谷本泰 マネージャー

3) 「親と同居」抵抗薄まる

中古住宅を購入するだけではなく、単身者と親が同居できるよう、実家をリノベーションする会社もある。