400万枚のリフォーム画像を無料公開、米国人気サイトhouzz

リフォーム新ビジネス　≪キーワード：インスピレーション≫

　リフォームマーケット拡大のカギは、生活者にリフォームの魅力を知ってもらうことだ。どんなリフォームをして、どんな暮らしを手に入れることができるのか、という情報発信はいつの時代も欠かせない。これまでは雑誌などの紙メディアが、読者にひらめき(インスピレーション)を与える役割を担ってきたが、今後はウェブサイトや、よりユーザーにダイレクトに発信できるスマホ向けのメディアも続々と登場してくるだろう。

houzzは400万枚を超えるリフォーム画像を提供し、自分のリフォームの参考にすることができる。画像のカテゴリーは全部で22ある

お気に入り画像は保存

　「THE NEW WAY TO DESIGN YOUR HOME(あなたの家をデザインするための方法)」│。今、米国で人気を集めるリフォームサイト「houzz(ハウズ)」のトップページには、こんな言葉が掲載されている。

　houzzは、2009年に誕生したサイト。その特徴は400万枚を超えるリフォーム事例写真を無料で見られること。膨大な画像データベースを通じて、「どんなふうに家をデザインしようか」と悩むユーザーに"ひらめき"を提供している。画像は高解像度の写真が多数を占め、美しいリフォーム事例写真がいつまでも途切れることなく現れる。

　スマホアプリもあり、手軽に参考例が探せる点が評判で、月間の訪問者数は2500万を超える。ユニークなのは、気に入った画像は「ideabooks」という自分専用のアルバムにスクラップできる点。ユーザーは集めた画像を元に次のリフォームを計画したり、業者に自分の好みを伝えたりできるわけだ。

　画像はhouzz編集部やパートナーが作る記事を通じても知ることができる。例えば、「2015年に流行しそうなキッチン13選」「料理を快適にするフローリング7選」といった記事を掲載。記事の総数は約1万2000ある。

　記事を通じた利用者同士の交流も活発だ。例えば、あるフローリングを紹介した記事には約300ものコメントが寄せられており、コミュニティが出来上がっている。

「2015年に流行しそうなバスルーム15選」といったようなまとめ記事も1万件以上公開されている

業者は285万が登録

　これらの画像はリフォーム会社やデザイナー自らがアップロードして いる。houzzにはプロ向けの会員制度があり、約285万の企業や個人事業主が登録している。無料でアカウントを作ることができ、作品をウェブ上に掲載できる。画像はプロの企業情報とひもづけられているため、事業者は魅力的な画像を掲載すれば自分たちのPRになるわけだ。例えばオレゴン州のwoodworks社が載せたキッチン収納の画像は24万人に保存されている。

それぞれの画像は提供したプロフェッショナル情報と連動しており、お気に入りの作品から業者を探すことができる

　houzzは画像を通じてユーザーのひらめきを呼び起こすだけでなく、理想の空間を作ってくれるパー トナーとの出会いも誘発する。プロとは写真にコメントしたり、メールや電話でプロとコンタクトすることが可能だ。その他、自宅からの距離を、10～100マイルの間で選び、"近さ"をもとに検索することもできる。リフォーム実施者は依頼したプロを5つ星評価でき、この口コミ評価を基準にして選ぶこともできる。

　さらに「アドバイス」というページではリフォームの悩みを投稿できる。例えば、「ドアの色は何色がいい?」といった質問が投稿されている。会員なら誰でもアドバイスが可能。ウェブでリフォームの悩みを解決できる場も提供している。

透明性高い市場に

　創業のきっかけとなったのはタタルコCEO自身のリフォームの失敗。築51年の家を購入してリフォームしたが、業者探し、施工中のトラブルなど多くの問題が発生した。その経験から「リフォームのアイデアを考えること」と「理想的な事業者と出会うこと」について悩みを抱えるユーザーが多いことに気付き、透明性の高いリフォーム市場実現のためにhouzzを立ち上げた。

　収益は企業からの広告、プロユーザーからの課金、住宅設備・建材などのネット販売。「store」というページで現在、100万近いアイテムを売っている。houzz人気は米国にとどまらず、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツでもサイトを開設。設立準備中の拠点にロシアと日本がある。