建築物を解体、リフォームする際に必要となる石綿事前調査結果報告システムへの報告、書類作成を一元管理できるクラウドシステムがある。EMS(東京都千代田区)が提供する「アスベストONE」だ。
アスベストONEのロゴマーク
アスベストONEは、石綿に関する法令を遵守するうえで必要な3つの機能を備えている。1つ目は書類作成機能。リフォーム工事を行う際に、石綿が確認された、または「みなし」判定とされた場合、作業計画や作業報告など7種類の書類を作成する必要がある。工事1件の書類作成時間は、紙やエクセルの場合1〜2時間程度かかるといわれている。同ツール導入後は15〜20分程度と約6分の1に時間を短縮できる。
2つ目は書類管理機能。人が石綿を吸い込むと、長い潜伏期間を経て健康被害が出ることから、書類の保管期間は3年間、最長40年間保管しておく義務がある。案件ごとに書類作成と管理を行うことで、書類提出が必要な場面や担当者が不在でも対応でき、会社全体でコンプライアンスを守ることができる。
3つ目は行政報告機能。2022年4月以降、請負金額が税込100万円以上のリフォーム工事、80平米以上の解体工事をする場合は、行政サービスのGビズIDを利用して、石綿の事前調査結果報告が必要となった。行政報告の入力には30〜60分程度かかるといわれている。同サービスでは、作成した書面を抽出し、行政報告にそのまま連携可能なため、業務負担が大幅に軽減する。
「法令を守るためには手間になることも多いです。従業員を守り、地域の信頼を保ち、会社を存続させることを意識してみると、やらなければならないことが必然と見えてくると思います。アスベストONEは石綿管理に詳しくない方でも迷わずできるツールです」(星美耶代表取締役)
料金は、月間の工事件数など会社に合わせたプランを設定。1アカウントで1社1拠点10人まで追加料金なく利用可能だ。
累計導入企業数は5000社以上で、リフォームや電気工事、解体などに関わる企業で採用されている。リフォーム会社では従業員数50〜100人前後の会社が多い。
「月5件前後の工事がある場合、事務員は半月くらい石綿管理につきっきりで作業する必要があります。例えば事務員に月24万円程度支払っていたら、月12万円くらいは石綿管理に割いていることになります。アベストONEは事務員を新たに雇うより、お手頃に利用できます」(星代表)
今年4月からは新たに石綿分析機能を追加。全国の石綿分析会社をマッチングし、分析結果をアスベストONEのなかに紐づけることができる。
EMS 星美耶代表取締役

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