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キーワード:公共施設のリノベーション
廃校となった幼稚園と小学校をオフィスやゲストハウスにリノベーションし、校庭には「小屋」が複数建てられているー。千葉県の最南端、南房総市白浜町でユニークな再生プロジェクトが進められている。この建物「シラハマ校舎」の運営を手掛けるのは合同会社WOULD(千葉県南房総市)の多田朋和代表。多田氏が提案したいのはこの廃校を拠点とした「2拠点居住」というライフスタイルだ。
シラハマ校舎の外観や屋根は多田氏が自らリフォーム
東京から2時間
「シラハマ校舎」は千葉県南房総市にあり、東京からは約2時間という距離にある。近くには海が広がり、校舎の裏には山林が生い茂る。自然豊かなリゾート地として別荘も少なくない。
シラハマ校舎は元々は旧長尾幼稚園・小学校として利用されていたが、5年ほど前に廃校。南房総市は良い利用案を探しており、2度コンペを開催。3年前に再生・運営を手掛けた合同会社WOULDと「無印良品」を展開する良品計画(東京都豊島区)の共同案が採択され、再生プロジェクトがスタートした。市から10年契約で土地建物を借り上げ、同社が再生・運営するというスキームだ。
校舎は築65年の木造の平屋。校庭を含めると敷地面積は1万平米ほどあるが、校舎のみでは1000平米ほど。この校舎を働く場としての「オフィス」、旅行者が泊まれる「ゲストハウス」、そして飲食を楽しめる「レストラン」の3つの機能を持つ複合施設へと生まれ変わらせた。
さらにユニークなのはかつては校庭だった土地に良品計画が開発した「無印良品の小屋」を21棟分譲する計画。ここは暮らす場としての居住地となり、シラハマ校舎では働く、泊まる、食べる、生活するといった多様な価値を提供している。
通路はそのまま既存の「廊下」を生かした
教室は仕事場に
ゲストハウスは「R」と「L」という2種の部屋を用意。ここは元コンピューター室だった場所だ。「R」は編み物のアート作品を軸にデザイン。アーティスト「シューデイ」の楽屋裏がテーマとなっており、化粧台はハリウッド女優が使いそうなダブルミラーを用意し、椅子とテーブルは地元木工作家のオリジナル。床はサンブスギのパーケットフローリング。壁はベニアに塗装して仕上げた。
「L」は映画監督「スパイクリー」をモチーフにしたアート作品からインスパイアして作った。床にはダークウッド材のヘリンボーン貼り、壁も暗めに仕上げ、ニューヨークで使われていた70年前のプレジデントデスクを配置。「中に入ると驚く空間が広がっているというギャップを狙いました」と多田氏は話す。いずれもかつては学校だったことを感じさせないデザインとなっている。
映画監督スパイクリー氏をテーマに再生した宿泊部屋
教室はオフィスとして再生した。合計10個あり、67平米の「大」タイプが2つ、34平米の「小」タイプは8つある。現在は7部屋が借りられている。「小」タイプは小学校の教室の中央に間仕切りを設けて2つに分割したもの。
ユニークなのはオフィス内は利用者が自由に改装でき、原状回復義務がない。例えば、天井壁を取って空間を広くしたりするオフィスもある。借り手は地元情報を発信したいメディアや地域の研究を手掛けたい大学のサテライトオフィス、企業コンサルタント、サーフィンスクールなどもある。
また、厚生労働省が進める「リモートワーク」推進プロジェクトのモデル部屋として利用されたり、大教室を「AWASELVES」というコワーキングスペースとして再生したり、様々な形の働く場を用意している。
学校教室はそのままオフィスとして利用。借り手が自由に改装可
既存品を生かす
元々幼稚園の遊戯室だった部屋はレストラン「Bar del Mar(バーデルマル)」にリノベーション。ここでは地元の魚介類や野菜を中心とした料理を振る舞う。「地産地消を心掛けています」(多田氏)
元々幼稚園だった場所はレストランに生まれ変わった
ユニークなのは既存のものをうまく利用していること。例えば、テーブルは図工室で使っていたものをカスタム。棚は化学室にあったものだ。

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