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来年4月に開校する職人学校、クラフツメンスクール(神奈川県横浜市)は10月6日から5日間、公開プレ講座を行った。今回は、2週間60時間にわたる講座を35時間に短縮。実際に、職人や建築に携わる2社3人が参加し、施工実技も交えた本番さながらの講座が行われた。

文化を創り働き手の増加へ
クラフツメンスクールとは、「建築職人が輝き続ける新しい文化の創造」を目指し、設立された職人の学校。職人として働く上での意義の伝達や基本的な技術指導を通じ、人材の育成、働き手の増加を進めていく。来年の4月に始まる講座の業種はサイディング施工だが、今後は業種の拡大を進めていく考えだ。
このたび神奈川県の海老名市及び綾瀬市で行われたプレスクールでは、9時から11時50分までの午前が座学による建築基礎講座。13時30分から17時はモデル住宅を使った実際の施工技術講座が行われた。
午前の講師は千葉大学・東京芸術大学の講師も務める建築家、丸谷博男氏。建築とは何か「何のために建築をつくって来たか」に始まり、日本の住宅史や海外の事例、デザインまで幅広い内容で実施。例えば、外装材の市場シェアや湿気対策法の話でも「なぜそうなったのか」の理由を解説するスタイルで、建築の本質に迫る内容になっている。1講座50分で、5日間で合計14講座。

座学は教科書を元に行われる。1講座の時間は50分。1日3講座を行う。
建築とは何かの根本から始まり、サイディングとはなど、建築に携わる上で土台となる知識を蓄積できる内容となる
「職人の方は『建築とは何か』などは9割9分勉強していません。まず自分たちは何のためにこの仕事をするのかの意義、役割を知ることが必要です。僕たちが行うことがどう社会に影響を与えていくのか、それを伝える講座を作っていければと思っています」(仲本純代表理事)
モデル住宅使い短期間で技術習得
午後は、場所を移動し、株式会社エコモコ倉庫内にあるモデル住宅を使った施工の技術講座を実施した。受講者は作業着に着替え、腰袋に道具をいれる現場スタイルで、施工や現物をみての知識提供が行われた。ここでも重要視しているのは、なぜを問う教え方。玄翁(※かなづちの事)1つとっても「片方が半円状になっているのは材料を傷つけにくい」などと1つずつ理由をつけ加えて教えていく。また、講師の1人である安達智理事は「客観的にみることが重要」と話す。同じ受講生の他者に施工を見せることで学び、自らの失敗でさらに学ぶ、その繰り返しで短時間でも技術定着を目指す。

玄翁の使い方の授業。業種によって玄翁にも種類があり、なぜそうなっているかも丁寧に説明。
実際にくぎを打つ実習も行われ、持ち方から、たたき方、抜き方などが細かく指導された

道具の名称あてクイズ。指示した3つの道具を箱から時間内に取ってくる

防水シートの貼り方の授業。
実際のモデル住宅をぐるりと取り囲むように施工。なんども反復して、止め、切る作業が行われるため、わずかな時間で大きな技術の向上が見られた
本スクールでは泊まり込みで2週間
来年4月に行われる本スクールは、静岡県の施設で行う。泊まり込みで1週間のスクールを中1週間空けて2回に分けて実施。初回定員は30人の予定だ。参加費用は30万円だが、補助金申請をすると企業側の実質負担額はほとんど発生しない。補助金申請も同スクールでサポートする。
「仕事への考え方が変わった」 ――プレスクールに参加した高橋裕貴さん(19歳)――
今回の講座を聞いて仕事に対する考えが変わりました。昨年の4月から現場に出ているのですが、建築とは何かなどの話は聞く機会がありませんでした。
中でも特に日本の住宅史が印象深かったです。学生のころに江戸時代は無駄がない時代と聞きましたが、建物まで無駄がなかったとは知りませんでした。今後仕事をするうえで気が引き締まる思いです。また、技術講座では、実際に施工できるのがうれしいです。今は、現場に出ても手伝いで、サイディングの端材で練習できるだけですので、しっかり行えるのは大きいです。

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