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戸建て再生住宅、年間3100戸販売カチタス

戸建て再生住宅、年間3100戸販売 カチタス

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リフォーム新ビジネス ≪キーワード:中古住宅流通≫

 国は2020年に中古住宅流通市場を、現状の2倍にしようと計画。流通数増加に伴い、リフォーム市場の拡大も期待されている。だが、中古住宅流通を活性化させるのは容易ではない。求められるのは、中古が持つ見た目の汚さや、性能の劣化、マイナスイメージをリフォームによって改善すること。ユーザーが買いたいと思える中古住宅を提供できれば、そこに大きな商機がある。

カチタス 新井健資社長カチタス(群馬県桐生市) 新井健資社長

 「リフォームした中古住宅を見学しに来たお客さんからは、『これが本当に中古なの?きれいだね』と驚かれます」。こう話すのは中古再販事業を手掛けるカチタス(群馬県桐生市)の新井健資社長。中古再販事業とは、中古住宅を買い取り、リフォームした後に再販売するというビジネス。

 同社は年間に3100戸ほどの販売を手掛けており、その実績は国内トップ。売上高は約400億円。全国に107店舗の拠点を持ち、主に戸建て住宅の再販ビジネスを展開している。近年、再販ビジネスに取り組む企業は増加傾向にあるが、カチタスのように広範囲で、これだけ大量の戸建て住宅を再流通させている会社は珍しい。

 なぜこれだけの数が売れるのか。人気の理由は、割安に戸建て住宅が手に入れられる点だ。同社の再生住宅の平均販価格は土地・建物込みで1300万円。価格はエリアによって異なるが、新築相場の半額近いものもある。

 中古と言えども中身はリフォーム済み。最新の設備・建材が導入されている。オープンルームでは一般的な中古住宅のイメージとのギャップに驚くユーザーも少なくない。

9割以上を改修

 同社では買い取った物件の9割以上はなんらかの改修を行い、7割程度は水まわりなどを含めた総合的な改装となる。凝ったデザインというよりも、あくまで実用性を重視したリフォームを行う。例えば、同社では車移動が生活の ベースとなる地方での販売が多いため、庭をつぶしてでも駐車スペースをより広くしたようなリフォームが人気だ。

カチタスの再販ビジネスは戸建てが9割
カチタスの再販ビジネスは戸建てが9割。
仕入れから売却までの期間は平均して4~5カ月。リフォーム前から売り出すのが特徴。告知から60日程度で売却となる。
駐車場を拡充するなどの実用性あるリフォームが売れ行きを左右する

 「このビジネスで大切なのは中古でも『買いたい!』と思えるリフォームの企画力」(新井社長)というように、見た目や実用性の改善に重点を置いた改修を行う。

内装の見た目の汚さをいかに払拭するかが売れる中古住宅を開発するコツ
内装の見た目の汚さをいかに払拭するかが売れる中古住宅を開発するコツ。
特に水回りのリニューアルはニーズが高く、仕入れた物件の7割以上はなんらかの水まわり設備機器を入れ替える

 改修コストは平均300万円。これは業者価格なので、ユーザー向け価格の600万円程度に相当するという。施工は約800社の工務店と協業しており、 毎週200現場が稼働しているという。購入者は1次取得者の割合が6~7割で、賃貸に住むユーザーの購入が多い。

 割安に戸建てのマイホームを手に入れられるという点がユーザーに選ばれる理由だ。

 販売している物件は築20~30年が中心。常にマーケットにある中古住宅を仕入れ続けていくことがこのビジネスの肝となる。同社ではエンドユーザーからの直接購入が4割、不動産仲介会社からが4割、競売物件の落札が2割という割合。再販ビジネスでは、一般的には仲介会社から購入するケースが多いが、同社ではユーザー直接の仕入れが強い。

2週間で現金化

 仕入れ方法は、テレビCMとチラシで買い取りの案内を行う。特に効果が高いのは年に4回行っているテレビCM。査定依頼を集め、診断の後に、購買の判断を行う。買い取った物件は最短2週間で現金化している。

 販売に強い不動産会社が少ないエリアだと、仲介会社経由で売却を依頼していてもなかなか買い手がつかないというケースが少なくなく、現金買い取りはユーザーから好評だという。また、査定依頼を受ける中古住宅はほとんどがリフォームされていないために、そのままではなかなか買い手がつかない。

 「中古は一度誰かが住んだもの。やはりリフォームの必要があります。それでいて新築よりも割安なことが大切。中古住宅をモノとして買いたいと思えるようにしていかないと、市場は大きくならない」(新井社長)

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