消費者庁は、広島県広島市に本社を置くアクアライン(代表 大垣内 剛氏)に対し、2021年8月31日から翌年5月30日までの9か月間、訪問販売による勧誘、申込受付、契約締結業務等を停止するよう命じた。
同社の主力事業は、水回りの緊急修理サービスだ。『水道屋本舗』の屋号で24時間365日、全国の消費者からの依頼を受け付けるコールセンターを設けて展開している。2021年2月期の連結売上高は前年比0.3%増の60億2500万円、営業損失は4億4600万円となっている。
ホームページや電話帳、マグネット式チラシなどを見た消費者から依頼があれば、近くに住むサービススタッフが自宅から直接、商品や機材を乗せた車両で訪問し作業を行う。サービスが終わればそのまま直帰するため、営業所などの拠点を持たずに全国展開するビジネスモデルだ。
共同通信社によると、訪問作業時、部品交換で済むトイレ詰まりの修理に「トイレ一式を全部交換するしかない」と虚偽の説明をしたり、クーリング・オフが可能な期間にできないかのように告げていた点などが消費者庁から問題視され、今回の行政処分となった。
特定商取引法では、消費者が自主的に契約の申込み、締結をする意思を持って事業者を自宅に呼び契約した場合、クーリング・オフの適用除外に該当する。しかし今回のように「トイレやお風呂のトラブル、3300円から」などと修理代金の安さを強調したサイトを見て依頼したにもかかわらず、高額な工事を勧誘され契約した場合は、もともと高額な契約をするつもりで依頼しなかったとしてクーリング・オフが認められる。
同社は「処分を深刻に受け止め、心よりお詫び申し上げる」と経緯を公表したが、訪問販売形態以外の方式による業務は継続している。
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