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建設業サポート室、全国の士業が建設業を支援

建設業サポート室、全国の士業が建設業を支援

建設業サポート室
櫻井好美 代表
1515号(2022/08/01発行)13面
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建設業サポート室 櫻井好美 代表

建設業サポート室 櫻井好美 代表

残業代支払いなど対策が急務

社会保険労務士法人アスミル(千葉県松戸市)代表で社労士の櫻井好美氏が中心となり2017年に立ち上げた、一般社団法人建設業サポート室(千葉県松戸市)。建設業を全面的にサポートすべく、士業によるネットワークづくりに取り組んでいる。建設業は時間外労働の上限規制について例外扱いとされてきたが、2024年4月にはそれも廃止される。建設業でも時間管理が必須となるため、働き方についての見直しが急務だ。HPを立ち上げこれから本格活動を開始する櫻井代表に団体立ち上げの経緯やこれからの建設業経営に求められることについて聞いた。

建設業に特化した士業ネットワークを

――法人を立ち上げたきっかけを教えてください。

もともとお客さまに建設業の方が多く、関わりが深かったのですが、2017年頃に社会保険の未加入問題が大きく取り上げられたことで、労務環境についてサポートする必要性を感じました。それをサポートするならチームを作った方が良いのかなということで、行政書士や税理士、弁護士などいろいろな士業に声をかけました。

日本のインフラを支える建設業だけに業界全体が変わる必要も感じましたし、完全に特化して士業など専門家同士の勉強会などを行える体制づくりをしました。

――勉強会は、どのくらいの頻度でどんな内容なのでしょうか。

コロナ禍前はリアルが中心でしたが、その後もZoomを中心に隔月ペースでやっていて、社労士、行政書士、税理士などが参加しています。たとえば「雇用と請負」といっても、社労士だと労務、税理士だと給与や税務調査というように、士業も自分の専門はわかるけど他のことは分からない。なので、互いの知識を交換し合っています。

1つのテーマで複数の士業が一緒に話をするときもあれば、今日は行政書士の日で「建設業法とは」みたいな時もあります。これまでは士業同士が中心でしたが、今後は、そこで得たノウハウを建設業向けに公開しようと思っています。

――これからの具体的な活動計画について教えてください。

各都道府県にサポート室会員の士業を置きたいですね。地方に行くほど情報がないので、まずはそこをしっかり固めたい。士業向けの勉強会は毎月開催して、3カ月に1回くらい事業主向けのオープンなセミナーをやっていきたいです。ただ、建設業のことを理解した上でやらないと的外れになるので、しっかり土台を作るべく、士業に限らず経営の専門家なども入っていただこうと思っています。

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建設業の「時間・労務管理」は待ったなし

――建設業では、契約書も交わさず口約束でやっている会社が少なからずあるのも事実ですね。

労務面でも最近トラブルが多くて、経営者にも社会保険や働き方改革で危機感を持つ人が増えてきています。たとえば家族に社員が何人か、外注の職人さんがいるというところで、給料をどうやって決めたら良いのかとか、そもそも時間管理ってなんですか、という人もいる。日給者の割増賃金がないとか、弁護士から内容証明がくるとか、そういうトラブルの話をすると焦る方も多いです。

――準備として、建設業の経営者はまず何をしなければならないのでしょうか。

一番は、適切な「時間管理」。何が残業にあたるのかとか、本当に必要な仕事かの精査とか。「若い人がこの業界に来てほしい」という目的は皆一緒なわけで、そうしたいのなら変えないと来ないですよと言っています。年間二ケタ休みの会社に人は来ないということを言うと、皆そうだよなとなります。

経営をきちんと勉強して、理解しようとする人のサポートもしっかりしたいですね。一緒に会社を作る成功モデルやパターンがいくつか見えてくれば、若い経営者にも良い影響があると思っています。

――さしあたって、すぐに対応する必要のあることは?

来年には残業代支払いを含む法改正があります。そもそも時間管理をしていないところは大変だと思いますが、労働者から個別請求が来たら会社は払わないといけない。有給がない、残業代が出ないと言われて労働基準監督署から連絡が来て、タイムカードを出してくださいと求められて、ありません、となれば是正勧告されて莫大な残業代を支払うことになります。本当に待ったなしで、1日も早くやらないといけない。だからこそ、早く知ってほしいですね。

他の業界では何年も前に終わってきたことなんです。時間管理といっても、いままでやっていないことを習慣づけるには、それなりの手間と時間が必要。そのお手伝いをしていきたいですね。

(聞き手/報道部長 福田善紀)

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