a-tech 板坂宜昭 社長
リノベーション施工DXのスタートアップa‐tech(東京都港区)。コロナ禍の2020年9月に敢然と創業した同社の合言葉は「リノベーションを再定義する」。顧客との情報格差をできる限り少なくし、高いと思われがちな工事価格をどう下げていくかを追求するため、先鋭的な取り組みを進めている。まさにそれらを実現するために起業したという板坂宜昭社長に、話を聞いた。
職人を「リノベエンジニア」にする
――事業を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか。
今の会社を立ち上げる前、「エイムズ」という会社を共同創業して、賃貸中心のリノベーションをしていました。どうやったら費用対効果が出せるかに注力していましたが、もっとリフォームやリノベーションを安く早く、良いものを提供して、ものづくりや建築にフォーカスしたいと考えたことがきっかけです。
多重下請け構造で金額が正しく安くなっていない。職人さんと施工管理はスマホの普及で変わってきたものの、他の業界に比べて革新的なことはあまり起きていません。そこを変えたいというのが大きな理由です。
――たしかに、まだ構造変化までは起きてないと感じます。
いまだに現場に行く、来いみたいなコミュニケーションの本質は変わっていないし、お客さんも中身が分からないまま「情報の非対称性」の中で発注せざるを得ない。エンドユーザーにとっては高い買い物なのに、そこへの無力感と憤りをプレイヤーとして変えたいという思いがすごくあります。
――立ち上げる際、構造変革に向け具体的に実施する内容は決めていたのですか。
人軸とDX軸です。人は、多重下請け構造の解消と職人の正社員化。弊社では職人ではなくて「リノベーションエンジニア」と呼んでいます。職人ではなく、現場作業プラス施工管理で、ホワイトカラーとブルーカラーの間みたいな人を直雇用していく。DXは、業務効率化。他の工務店は、まだまだ紙ベースで現場で打ち合わせしているのを、どう凌駕していくか。基本現場には行かず済むものをオンラインで開発しています。これらは、最初から構想として打ち出していました。
――正社員化ができていないところがほとんどのなか、勝算があると。

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