第34回住まいのリフォームコンクール 受賞者に聞く(2)
~施主の想いを形にするプラン作りと完成秘話~
優秀賞
築90年 商店街を見守ってきた洋館医院の住宅再生
三井不動産リフォーム
リフォームリフォームプランナー 一級建築士 相澤 美奈子 氏
プロジェクトマネジャー 林 孝幸 氏
「歴史を残すリフォーム」を提案
建築当時からの職人の技と現代の耐震技術を結集して次代へつなぐ
設計のポイント
(1) 鎌倉市の景観重要建築物等に指定された建物のため、外観を変更することが困難。耐震補強を内部に施した。
(2) 家族や友人を招いて楽しめるよう1階は広々としたオープンなLDKに。
(3) 階段の傾斜を緩和し、奥様ご希望の廻り階段へ変更。
関東大震災の直後に建てられたというこの旧小児科医院は、鎌倉市の景観重要建築物等に指定された建物だ。大正時代から地元の子どもたちを病気から守り、親しまれてきた。長年空家になっていたが、孫にあたる施主が、受け継いだ建物の再生を希望。内部を現在の快適な住まいに近づけたいと数社に提案を依頼した。
「お話しを伺っていて、この建物への想いと未来に受け継いでいきたいというご夫妻の強い決意を感じました。」と林氏。天井を見上げると、照明器具の台座に鶴やうさぎの浮き彫りが(写真③)。小児科を訪れた子供たちを上からずっと見守ってきたのだろう。林氏と設計担当の相澤氏はこうした古き良きものをできるだけ残したいと思い、他社が大きな内部改装を提案する中、「大切なものを残すリフォーム」を提案した。
照明やコンセント、建具に至るまで既存を再利用しようという提案は、「残すことができるんですね」と施主の心を打った。
「小さなフックでも使えるかどうか確認しました。工事中なくならないように社内伝達に気を配りました」(相澤氏)。
建築当時の職人の技と現代の耐震技術を結集
この建物を設計するにあたり、大きな問題点があった。ひとつは耐震工事だ。市の景観重要建築物等に指定されているため、外部が変わる工事ができない。そのため外部からの耐震工事ができないことに加え、大きな窓を耐震のために小さくすることもできない。大きな窓をそのままの形で残すためには、内部の壁をバランスよく補強するための緻密な計算が必要だった。
さらに、建築当時の工法を受け継ぐ職人の技術を必要とした。「窓ガラスはパテで留めてあります。窓の建具の塗り替えをするにも古いパテを取り除く際に何枚かのガラスが割れてしまいます。左官も当時の工法で塗らないと、既存の壁との差が出ます。将来お施主さんが補修の依頼で困らないためにもこの建物を知る地元の職人たちの技術が必要でした。」(相澤氏)。そこで90年前からこの建物に携わった職人を探した。「鎌倉は歴史ある建物の改修がよく行われるため、孫の代になっても当時の工法を受け継いでいて、皆さん喜んで集まってくださいました。中には先代、先々代の時の話をしてくださる方もいました。」まさに建物の歴史を未来につなぐリフォームと言えよう。
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