せっかく獲得した案件も、工事ミスや商品トラブルが相次いで、蓋を開けたら、低い粗利率に愕然としたり、徒労感を覚えたりすることはないだろうか? ミスや失敗を防ぐ仕組みづくりを今すぐ行い、大切な粗利を確保しよう。
ダイケンリフォーム(新潟県新潟市)
番場 和也さん
~番場さんの粗利アップ術~
1. 2時間に及ぶ建物診断で、見積もり項目の抜けを防止
2. 古い資料は発注ミスの元。情報を常に更新する
3. 防衛策を講じ、泣き寝入りをせずお金をしっかりもらう
2時間に及ぶ建物診断で信頼度アップ
年間1億5000万円を売り上げる、リフォーム営業歴12年目の番場さんは、顧客との厚い信頼関係を作ることで値引きや相見積もりを回避し、粗利率を向上させた。以前は、30%前後の粗利率だったこともあるが、さまざまな工夫で業務改善を行うことで、現在は目標粗利が35%のところ平均で33.5%を維持している。
「お客様に自社を選んで頂くには、この営業マンなら間違いないと思ってもらうことがとても重要です」。同社では、現場調査時に建築士の資格を持つ施工管理のスタッフと一緒に2時間に及ぶ建物診断を行う。そこで、他社が指摘しないような部分まで把握。建物の良い部分も悪い部分も包み隠さず話すことで、信頼度がアップし、値引きの要請や相見積もりはほとんどなくなったという。
建物診断では床下や屋根裏など、普段見ることができない箇所を入念に検査。必要な調査としてコンセントを剥ぐこともある。
「これにより、見積もり項目の抜けも防げます。白蟻の駆除や、壊してみたら柱が抜けないといった想定外の事態も防げます。途中で発覚すると、施主に請求できず、フタを開けたら粗利率が下がっていたということに陥りがちです」
専用ファイルで常に最新の情報を更新
何回も打ち合わせを重ねていくと、施主が何回か前の商談で使った古い図面や資料を元に話していることがある。お互いの認識が違うまま商談が進んでしまうと、ミスやトラブルの発生に繋がる。
そこで、番場さんは専用のファイルを準備。打ち合わせの度に最新の資料に差し替え、古い方の資料は施主宅で紛れて混乱を招かないように回収する。「『こっちの商品が入ると思っていた』と言われたら、商品発注後でも会社側の費用負担で再発注することになりかねません。話している内容がちぐはぐにならないように注意しています」
古い資料は回収してしまうことがポイント
言葉かけを工夫し施主をマインドセット
現場調査の際、番場さんはまず施主に、建物の良い部分を伝えるようにしている。「お客様の中には、自宅を安普請なのでは? と不安に思っている方もいるので、意識的に褒めることで、『良い家をリフォームして大切に住もう』というマインドに変えていただきます」。これにより、単純な設備の入れ替え工事だけではなく、大規模なリノベーションに発展することがある。
また、建物診断の際はお客様に「良いことも悪いことも包み隠さずお伝えしていいですか?」と事前に承諾を得ておく。これによりお客様も言葉を受け入れてくれやすく、またただの営業マンではなく、住宅の専門家として見てくれるようになる。
締め切りを伝え「間に合うと思った」を防止
商品発注後に、施主から商品変更のお願いを受けてしまうことがある。「お客様から『もう商品を変えられないなんて聞いてなかった』と言われてしまったら、変えざるを得ないことがあります」。そのため、商品発注のスケジュールを伝え、商品変更するならばこの日までにと明確に伝えるようになった。
着工前までに仕様を固め職人の手を止めない
着工したのにプランの仕様が決まっていないと、職人の手を止めてしまったり、想定していた工事内容からずれてしまったりすることがある。手直しが発生しまうと結局人工代が嵩むので、着工前に仕様を確定させておく。
