独立行政法人建築研究所(茨城県つくば市)は「長期優良住宅先導事業シンポジウム ~ストック社会の住まいづくりの課題と展望~」を都内で開催した。
平成20年度に始まった同事業は「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」という技術の進展と普及を行うために具体的な事業モデルを募集していくもの。これまで7回の募集を行い、同事業は今年度にて終了。シンポジウムでは評価委員の松村秀一・東京大学大学院教授が講演。以下講演の一部を紹介する。
「今から15年前くらい前に欧米の団地再生の調査に行きました。スウェーデン、フランス、イタリアなどの市場構造を調査すると、住宅への一年間の投資総額の5~6割がリフォームのようなものになっていました。日本では今でもそうなっていない。当然、中期的に見れば、そういう方向でパーセンテージが上がって来て、新築が3~5割しかない、そうでない仕事の方が、5~7割を占める市場構造に変わっていくということを15年前に知ったわけです。その時に大事だと思ったことのひとつは人材育成。当時10年間かけて新築からそうでない仕事に業態を変えた企業群に一番何が変わったかと話を伺ったところ、新しいタイプの人材が求められたという。それはコミュニケーションができる人材。既存住宅改修のもともとの需要は『生活をなんとかしたい』ということ。住むところはあるのだけれど、『生活をもう少し良くしたい』といった、不満なことや希望を導き出しながら、一体何をこの人たちにすべきかどうかという判断をする。技術的に診断がきちっとできる、理由を示して説明ができるというのは最低限のことですが、実際にこの仕事を展開していくうえではコミュニケーション能力のある人を育てていかないといけない」
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