京都のリフォーム会社・工務店15社と建材商社、設計事務所、不動産会社、メーカーなど約40社からなる組織「京ぐらしネットワーク」(本部・京都府京都市)。共同で市内にある町家の性能向上リフォームを促進し、受注数を伸ばしている。高額改修受注のビジネスモデルとして、注目を集めている。

▲築50年以上の長屋を、耐震補強、高断熱化、オール電化、太陽光設置、設備の一新などトータルリフォームして再生。
東京からも引き合い
「平均受注単価は1200〜1300万円と高額。これからもっと受注数は伸びていきそうです」。こう話すのは事務局を務める建材商社、平安建材(京都市)の玉田均取締役。ネットワークは昨年から本格稼動し、現在までに7件の完工実績がある。引き合いは増えており、受注済みの物件は6件ある。
同ネットワークが推進するのは、主に1950年以前に建てられたいわゆる'京町家'の全面改装だ。「京ぐらし」というブランドを作り、リノベーションの仕様もパッケージ商品化した。これを各リフォーム会社が共同で推進する。
リフォームの主な内容については左の表にまとめているので参照してほしい。一言で言えば、住宅性能の向上に重きを置いている。高断熱化、耐震補強、防火性能向上などがそうだ。
それに、オール電化+太陽光、地場産材活用、京都の町並みの景観に配慮した外装デザインといったものを組み合わせる。トータルなリフォームになるため、工事費用は1000万円を超えることになる。
また同社では「再生した町屋で京都の文化を楽しもう」という、まさに'京ぐらし'を推奨している。「東京から移住したい、またはセカンドハウスにしたいからリノベーションできる町屋を探してほしいという方が3組いて、今待ってもらっているくらいです」(玉田氏)。
共同でモデルハウス活用
集客から受注までのビジネスモデルは、まず、共同でブランドを活用して販促を行い認知度を高めること。そして関心を持ったユーザーには実際に町屋を再生したモデルハウスを見学してもらう。各リフォーム会社がイベントなどで集客を図り、リフォーム受注につなげる。
このほか、営業力アップのために共同で研修を年10回実施。クロージングや集客方法といった営業面の支援、さらに断熱改修の技術などの施工品質面のスキルアップも図っている。
施工請け負いは各工事店が施主契約。耐震設計などはグループ内の設計事務所が担当し、連携を図る。「このネットワークに入ったことで、これまで大きなリフォームが取れなかった会社が、フルリノベーションを受注できるケースも出てきました」(同氏)。
もちろん、町家だけでなくとも、同様の高性能リフォームで仕上げてほしいという依頼にも対応する。15社の施工会社にとって、この「京ぐらし」が提案の'武器'になっている。
最新の事例は、築50年を超える賃貸町家の丸ごと一棟改修。断熱化、耐震補強、太陽光も設置。これまでは戸建て住宅のみだったが、今後は賃貸オーナー向けの提案にも力を入れていく。さらに町屋のリノベーション再販も視野に入れる。「グループに不動産会社がいるので、よい物件を仕入れ、リフォームして再販するというビジネスモデルを考えています」(同氏)。

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