老朽化した木造賃貸住宅を再生するためのリフォームアイデアを、料理の調理方法のように「レシピ化」するユニークな取り組みを行っているのが一般社団法人モクチン企画(東京都中野区)。レシピはウェブサイトで公開されており、リフォーム会社、不動産管理会社といったプロユーザーだけでなく、賃貸に住む一般消費者も自由に見ることができる。

レシピを使って再生された築44年の「あさひハイツ」
空室物件の入居率改善
半年間も空室が続いていた東京都内にある築44年の木造賃貸住宅「あさひハイツ101号室」。モクチン企画の"リフォームレシピ"を元に改修したところ、わずか2週間で入居者が付いた。コストは70万円かかったが、家賃は従来よりも10%高い5万5000円。投資は約1年で回収できる。なかなか入居者がつかずに諦めていた物件だったが、レシピによって人気物件に生まれ変わったとオーナーも満足気だ。
モクチン企画では、木造賃貸住宅の研究を進めており、その特長・問題点を分析。ローコストで入居率が改善できるリフォームのアイデアを「レシピ」という形でまとめている。現在は35種類ある。これらの情報はウェブサイトで公開。プロの事業者にはレシピをどのように活用すれば入居率を改善できるかというプランニングサポート事業を行っており、これまで30物件ほどのコンサルティングを手掛けた。

レシピ001「まどボックス」 窓の下に収納とベンチの機能を持つボックスを設置
前述した「あさひハイツ」は8つのレシピを組み合わせて再生された。例えば、レシピNo.001の「まどボックス」。木造賃貸には床から40センチほどの高さに窓が取り付けられていることが多く、その下に収納ボックスを配置するというリフォーム。ボックスはベンチとして座れるように設計されており、窓の外の景色を見ながらくつろげるスペースとなる。
レシピ002「きっかけ長押」 壁に板をとりつけ、物やハンガーをかけられる
また、レシピNo.002「きっかけ長押」。これは、壁面に細長い板を取り付けてモノが置けたり、ハンガーをかけられたりする壁面を有効利用できるリフォーム。その他にも、柱、長押、回り縁、敷居、鴨居、開口枠などの線状の木部をグループと考え、すべて濃い目の塗装を施し統一感を出す「木部グループ化」というレシピも使われている。
――― レシピ一覧 ―――
- 001. まどボックス
- 002. きっかけ長押
- 003. 木部グループ化
- 004. 押入れ居室仕上げ
- 005. ゆるやカーテン
- 006. 押入れ組み替え棚
- 007. しきい棚
- 008. 廃材鍵置き
- 009. 味のある壁
- 010. 窓からデッキ
- 011. 黒板ドア
- 012. 風の通り窓
- 013. 部屋番号ペイント
- 014. 砂利敷き
- 015. ライティングレール
- 016. カメレオンペイント
- 017. おかえり照明ただい ま照明
- 018. あかるいユニットバス
- 019. はしご棚
- 020. 無垢フローリング
- 021. ホワイトニング
- 022. ロフトカウンター
- 023. 大きめカーテンボッ クス
- 024. ミニミニウッドデッキ
- 025. たたみロフト
- 026. 木肌美人
- 027. フロアボックス
- 028. かゆいところに棚
- 029. 2色ポリカ
- 030. 井戸端デッキ
- 031. 目隠しルーバー
- 032. ゆるやガーデン
- 033. さびポスト
- 034. 雑草ライン
- 999. 日々の掃除

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2025/07/31掲載