地方自治体によるリフォーム助成制度が平成22年度に続き、平成23年度も活発に行われようとしている。同制度は平成22年度で計200近くの自治体が行っていたとみられるが、秋田県をはじめとした成功例も多く報告されていることから、来年度は約300自治体に膨らむと予測できる。リフォーム需要のさらなる掘り起こしに期待できそうだ。
宮崎市は次年度、予算を平成22年度の2倍となる2億円で実施する。
宮崎市が制度をスタートしたのは平成22年8月2日。その日だけで111件の申請があり、10月第1週で平成22年度の予算額(1億円)を超えたという。好調の背景として、工業政策課の石川氏は「幅広い人に利用してもらえるよう、断熱工事も対象にするなど使いやすい制度内容にしたのが奏功した」と語る。平成23年4月から開始される次年度分では、前もって申請を受け付ける仮受付を行っている。2月14日から開始し、3月9日現在で600件の申し込みがあるなど順調なスタートを切っている。
岩見沢市(北海道)は平成23年5月から、平成22年度までの制度を拡充させた形の制度を実施する。岩見沢市は平成19年、3年事業として助成を開始したが、平成21年度までに計1,137件が申請されるなど好評を博した。そのため期間を延長して実施。結果、今年2月末までに計1,952件の申請があった。
制度を実施した4年間で、65歳以上の高齢者がいる家庭は補助率を15%・上限額は45万円(通常は10%・上限額30万円)とするなど、柔軟に制度を変たことで徐々に申請者数を拡大してきた。同市建築課の津軽氏は「来年度はより多くの人に使ってもらうため、工事費を30万円に下げたり、優遇世帯に対する補助額上限も30万円とするほか、中古住宅や解体も対象とするなどして、裾野を広げていきたい」と抱負を語っている。
従来の制度を拡大し県が新たに制度実施
県として取り組む自治体もある。奈良県はこれまで「住宅エコポイントならプラス」として、耐震や外壁リフォームなどを対象に行っていた事業を、平成23年度から一般のリフォームにも拡大する。
従来の耐震改修補助や市町村による耐震改修補助との併用が可能なため、リフォームに対して最大で126万円分の補助を得ることも可能だ。さらに補助金は商品券で支給し、地域経済全体の活性化を狙う。
「リフォームが見直されている時勢であることなどから実施に踏み切った」とは、奈良県住宅課の村井氏だ。同氏は「以前の制度の際も反響は大きく、業者も受注が増えたと思う」と語り、今回の制度にも期待を膨らませている。
地方自治体による、リフォーム助成制度とは?
地方自治体が、経済対策として独自に推進しているリフォーム工事の助成制度。制度内容は自治体別に異なるが、一定額以上のリフォーム工事を行う人に対して、工事額の一定割合や一定額を補助したり、商品券を配布するといった内容となっている。車庫やエアコン設置は含まないなど、詳細規定も自治体によって異なる。申請できるのは、該当自治体に居住する住民などで、対象工事業者も地域に本社を置く事業者と限られているケースが大部分だ。

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