大京 中古住宅1棟リノベ本格参入

　大京グループで不動産仲介を手掛ける大京リアルド（東京都渋谷区）が、中古住宅の１棟リノベーション事業に本格参入する。同社はその第１弾として千葉県千葉市美浜区に「グランディーノ稲毛海岸」をオープン。新築だけでなく、中古のニーズにも対応できる体制を整えた。

新ブランド第１弾の「グランディーノ稲毛海岸」

新築では実現できないゆとりが特長

　同物件はＪＲ京葉線「稲毛海岸駅」から徒歩５分の場所にある、築27年のマンション。大手企業の社宅として使われていたものを大規模にリノベーションした。販売価格は約３０００万円で、近隣の同条件の物件に比べ、８００万円ほど安い価格設定となっている。

　「１室約80平米という専有部の広さ、そして１６００平米に23戸というゆとりある空間が最大の魅力。現在新築ではこれだけゆとりのある物件を作るのは、採算がとれないため難しいでしょう。価格面だけでなく、新築では実現できないこの物件ならではの良さをユーザーにＰＲしていきます」（不動産コンサルティング部　豊島基宏担当課長）

専有部面積が約80平米という新築では実現が難しい間取り

　共有部は屋上防水工事や給排水管の更新ほか、コミュニティスペースとなる庭を作った。また社宅であったことから、改修前は共用エントランスがなかったため、今回正面に管理人室のある共用エントランスを増設。セキュリティ面の強化、マンションの外観の刷新を図った。

　専有部は同グループの新築マンション「ライオンズマンション」で使用している、食器洗い乾燥機付きの「エルズキッチン」をはじめとした住宅設備を採用した。そのほか、エコジョーズ、保温浴槽、節水型トイレなどを設置し、同グループの主力商品である「ライオンズマンション」の品質に近づけた。

新築並みのサービス実現

　新ブランド「グランディーノ」は、販売を大京リアルド、設計・施工を大京エル・デザイン、物件管理を大京アステージが担当する。このグループ内での協力により、これまでの同社の中古再販と異なり、中古入居者も新築入居者と遜色ないサービスを受けることができるようになった。

　例えばソフト面では、大京アステージが新築マンションの入居者向けに提供してきたウエブサービス「くらしスクエア」を「グランディーノ」の入居者も利用することが可能になった。同サービスは自分が住んでいる部屋の設備交換の時期を事前に知ることができ、交換の際には見積もり、工事日程の調節などもすべてサイト上で行うことができる。

年4〜5棟のペースで供給

　同社は昨年の６月から１戸ごとの中古物件の再販事業を「リノアルファ」というブランド名で展開している。販売戸数は、前年度比84％増の５９５戸と好調だ。しかしユーザーから「専有部は気に入ったが、共用部が古くて魅力に欠ける」などの声も上がっていた。

　豊島課長は「今回の新ブランド立ち上げは、このようなユーザーの不満を解消するとともに、当社グループ全体で、新築、中古仲介、中古再販と、多様化するユーザーのニーズに応えていくため」と話す。

　同社では今後年４〜５棟のペースで１棟リノベーション物件を提供していく。第２弾は小田急多摩線「小田急永山駅」近くに年内完成予定。

　第１弾の「グランディーノ稲毛海岸」と同じく、不動産業者の視点から物件本来の魅力を生かした１棟リノベーション物件を提供していく方針だ。またユーザーの要望を考慮しつつ、今回のような仕様の決まった中古再販だけでなく、ある程度オーダーメードできるようなサービスも検討している。

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《物件概要》

• 立地 ： 千葉県千葉市美浜区
• 築年数 ： 27年
• 戸数 ： 全23戸
• 専有面積 ： 約80平米
• 販売価格 ： 約3000万円