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「リノッタ」という名称のリフォームブランドが、賃貸オーナーや管理会社を中心に話題を呼んでいる。仕掛けているのはクラスコ(石川県金沢市)。何年も空き家になっていた築古の部屋を個性的なプランで改修し、人気物件に再生するビジネスを展開。賃貸リフォーム事業だけで売上高は5億円を超え、近年受注数を伸ばしてきている。
「原状回復」とは違う
「金沢市にある200の空き部屋をリノベーションで満室にしました」。こう話すのは代表取締役専務、小村典弘氏。
同社は2009年に賃貸リフォーム事業をスタート。入居者の付かない不人気賃貸を独自のリフォームで再生。「原状回復」とは全く異なる再生プランが評判となり、空き部屋で困る賃貸オーナーや管理会社から口コミで受注を伸ばしていった。
金沢エリアの「リノッタ」物件にはすべて入居者が付いており、中には1年以上空室だったものがわずか3週間で埋まった部屋もある。さらに、どの部屋も平均して従来より25%ほど家賃を上げた上で入居者が付いているという。
プランは262種類
「リノッタ」の特徴は262種のプラン。それぞれのプランには特徴を表した名前が付けられている。例えば、室内なのに土足で歩けたり、自転車が止められる「OUTDOOR LIFE」。ピンク色でコーディネートされた「PRINCESS LIFE」。赤いキッチンがリビングに向かって取り付けられている「DINING LIFE」。室内にカフェ風のテーブルとチェアを配置した「CAFE LIFE」。デザイン性の高い建材を壁一面に貼った「WALL ART LIFE」などなど。

OUT DOOR LIFE :空間に自転車を停めたり、土足で生活したりできるプラン

PRINCESS LIFE

DINING LIFE

CAFE LIFE

WALL ART LIFE
改修には平均で約150~200万円かけている。事例からわかる通り、「リノッタ」は、一般的な賃貸住宅にはない個性的なデザインが特徴だ。
「賃貸のリフォームといえばいわゆる"原状回復"。しかしこれでは他の部屋と差別化ができません。つまり入居者が付かない。あえて他とは違うものを作ったことがうまくいった要因だと思います。個性が強いとずっと住むにはどうかな、と思う人もいますが、賃貸は住んでも2~3年くらい。これくらいの期間なら思い出作りにといった人や、ファッションの一環として選ぶ人も多いです」
デザインは、地元金沢の美大を卒業したデザイナー4名を中心に考案。プランはすべて使う建材・設備のメーカーと品番、さらに設計図面などが決まっている。同社では約30社とフランチャイズ契約を結び、「リノッタ」の普及を進めている。加盟店は決まった仕様書通りのモノの手配と設計を行えばリフォームが可能だ。
元は管理会社
クラスコは元々タカラ不動産という名称の会社で、約1万室を管理する賃貸管理業が中心。業務において課題は、管理している物件の空室率が高まることだった。
「オーナーさんには家賃を下げて何とか入居者を探しましょうという提案をしていました。しかし、家賃が下がれば当然ながら管理会社の利益も下がる。しかも家賃を下げても入居者が付かない。そこでリノベを始めました」。以前は1万室中17%が空室だったが、現在は8%にまで回復した。
オーナーに対する提案は、独自のファイナンスソフトが導入されたタブレット端末で行う。成約率は同社の場合で約95%。リフォーム予算や家賃などをオーナーの前で入力しながらプレゼン。リフォームに投資した金額が何年で回収できるか、どのプランが適しているかなどについて、ビジュアルで提案していく。
今年は年間1000室の再生を目指していく考えだ。
≪会社概要≫
資本金 * 1億1810万円 / 所在地 * 石川県金沢市 / 売上高 * 29.5億円(グループ全体)
社員数 * 246名(グループ全体) / 事業 * 賃貸リフォーム、不動産の売買、賃貸借、管理など

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