トイレの臭いの元は、実は床や壁にある。特に床への尿ハネは広範囲だ。メーカーの調査によると、男性の小用時の尿ハネは1日当たり2000滴以上ともいう。目には見えにくいが、広範囲に飛び散った尿が浸み込み、いつまでも消えない臭いの原因となっている。臭い対策には、尿汚れに強く掃除しやすい床材がカギになる。

汚れが浸み込まないセラミックタイルの「ハイドロセラ・フロア」。
床全面をセラミックでカバーするタイプも発売されている。光触媒により防臭・防汚・抗菌・抗ウィルス効果もある。
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安価で施工が簡単なCFシート
尿ハネや洗剤が飛び散るトイレの床には、耐水性、清掃性、防汚性、耐薬品性に優れた床材を選ぶ必要がある。
トイレのリフォームで使われる、最も施工が簡単で安価な床材はCF(クッションフロア)シートだ。塩化ビニール樹脂を主成分とし、耐水性に優れていて掃除がしやすく、薬品にも強い。
無地調、木目調、石目調などデザインも豊富で、ビニール独特のべたつき感を抑えたマットなタイプも登場している。ただ、インテリアの質感が劣るのが欠点だ。
洗剤やアンモニアに弱いフローリング材
そこで、木の質感を感じられるフローリングをトイレに使いたいという施主も多い。しかし一般的なフローリングは水やアンモニアに弱く、トイレには不向き。トイレには耐水性だけでなく、アンモニアや洗剤にも強いフロア材を選びたい。
また尿が便器をつたってできる「尿シミ」は、床の継ぎ目にできやすい。継ぎ目のない大判サイズの床材ならこの尿シミを防止できる。

床にできた「尿シミ」が悪臭の元
それでも長時間濡れたままにしていると、継ぎ目から水分が入り込む場合があるので注意したい。表面の剥がれや膨れ、シミの原因となる。
尿飛び汚れに強いセラミック、ホーロー
さらに、汚れや臭いが浸み込まない床材も登場している。便器と同じ素材でできたセラミックや、金属の下地にガラス質の釉薬(ゆうやく)を焼き付けたホーローなどの素材の床材だ。さっと水拭きするだけで簡単に汚れが落ちるため、毎日の掃除も格段に楽になる。汚れやカビの温床となる目地もない。

「尿飛び汚れ」が浸み込まないセラミック
溝や継ぎ目がなく、汚れをためない大判セラミックタイル。汚れがつきやすい便器回りの床を1枚ですっきりとカバーできる。
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セラミック製タイルは汚れを簡単に落とせるため、日ごろの手入れは水拭きだけで十分。
面倒な床の掃除が簡単になり、家事の負担も軽減。
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また、湿気に強く、キズがつきにくい、剥がれや色あせの心配がない、など耐久性においても優れており、トイレに最適な床材といえる。素材の持つ光沢や色合い、清潔感のある質感などインテリア性にも優れる。
床の汚れが臭いの原因になっていることを周知して、より掃除しやすく、清潔を保てる床材を提案していこう。

トイレ用床材 主なメーカーと製品

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