施工性の良さを利点とする現場発泡の硬質ウレタンフォーム。施工には従来機材が大型のため2~3tトラックが必要だったが、小型軽量化によってワンボックスカーに収まり、1人で移動可能なコンパクト現場発泡システムが登場している。

施工の様子。複雑な形状でも隙間なく埋められる
住宅の断熱性能をアップさせる断熱材。なかでも近年、シェアを拡大させているのが現場発泡の硬質ウレタンフォームだ。現場発泡硬質ウレタンフォームの最大のメリットは、施工性の良さにある。
現場発泡は、断熱が必要な場所にウレタン樹脂の原液を発泡機で吹き付け、その場で発泡させる方法。スプレーで吹き付けられた原液が小さな隙間に入り込み、膨らみながら隙間を埋めていくので、筋交いが入った壁や複雑な構造の屋根裏、床下であっても隙間なく施工できる。
また自己接着力という他の断熱材にはない特徴があり、接着剤を使わなくても合板やコンクリートなどの表面に強く吸着した断熱層が作れる。
特に既存住宅の断熱リフォームの場合、現場の形状が多種多様であるための施工の困難があるが、現場発泡ウレタンフォームはどんな現場にも対応できるので、新築同様の断熱施工が可能となる。
リフォーム向け断熱材の提案ツールとして、日本アクア(東京都港区)は断熱リフォームの新システムを開発。現場発泡による断熱施工に必要な機器を、ワンボックスカーに収まるサイズにコンパクト化した。


1BOXカーに機材一式が積み込めるから、狭小地でもOK。機材は1人で動かせる
現場発泡はリフォームに適した断熱材だが、機材が大型のためリフォーム現場に持ち込むことができず、リフォームでの普及は遅れていた。
「これまでは2~3tトラックが必要で、200Vの発電機だけでも800キロ、さらに1本200リットルの材料のドラム缶を2本も積めば1tを超える重量のため、持ち運んでの施工ができなかった」と笹川真也取締役・リフォーム事業部長は説明する。
新システムでは100Vの発電機が100キロ以下になり、材料のドラム缶も60リットルと、1人で移動可能な軽量サイズ。車両から機材を降ろして現場まで持ち運びができるようになり、狭小地やマンションなどあらゆる現場での施工が可能となった。
昨年から施工協力店の募集を開始。今年中に全国150社の施工体制を整える考え。笹川取締役は「2畳分のスペースがあればどこでも発泡機を設置して断熱施工が可能。従来は対応できなかったリフォームの現場に活用していただきたい」とウレタン市場の開拓に意欲を見せる。

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