~アメリカ キッチン&バス最新リポート Vol.1~
1月20日から22日までの3日間、米・ラスベガスで世界最大級のキッチン・バス国際見本市「KBIS2015」が開催された。編集部ではリフォーム先進国である米国のキッチン、バストレンドについて現地取材を敢行。これから5回にわたってリポートする。今回はKBISから見えるキッチンの「デザイン」トレンドを紹介する。

【写真1】MasterBrandのキッチンは、それぞれ柄、色、素材感が違う「フュージョンスタイル&マルチプルカラー」。多様なデザインを統一感を持たせて組み合わせる"ミックススタイル"が人気。
"女性の流行"意識
「今アメリカで流行しているデザインは、フュージョンスタイル&マルチプルカラー、そしてヨーロピアン、もう1つは家具調のデザインです」。こう話すのはKBISの主催団体「NKBA」のプレジデントであるMARIA STAPPERFENNE氏だ。同氏はCKDというキッチンデザイナーの資格も持つ。
「フュージョンスタイル&マルチプルカラー」とは同じキッチンの中に異なる柄、素材、色を組み合わせる"ミックス"スタイルのことだ。例えば、MasterBrandはホワイト、ホワイトウッド調、ダークブラウン、薄茶色という4パターンのカラーを組み合わせたキッチンを展示(写真1)。PR担当のLESLIE氏は「このミックスされたスタイルが人気。今、キッチンはファッションの一部。色や柄の組み合わせを楽しむ女性が増えています」と話す。米国ではキッチン選びについて女性が主導権を持ち「いつの時代も女性の流行にあわせたデザインが求められる」と話す。
"多色"が人気
Berensonは赤、青、黄といったカラフルな取っ手のシリーズ「スペクトラムプロダクトコレクション」を展示(写真2)。「キャビネットのアクセントとして派手なパーツを使うケースが増えてきています。特にニューヨークやカリフォルニアではよく売れている」(PR担当)。キャビネットメーカーのWELLBORNでは、キッチン扉をお気に入りのカラーに塗装できる「カラーインスパイアプログラム」をPRしていた(写真3)。

【写真2】Berensonは今ニューヨークなどで人気を集めているカラフルな取っ手を展示。
【写真3】WELLBORNはキッチン扉を好きなカラーに変えられることをPR。
2つ目のトレンドが「ヨーロピアンデザイン」。これは装飾性が強いアメリカの伝統的なカントリースタイルキッチンに対して、よりシンプルで洗練された欧風デザインのこと。HAFELEでは、収納の取っ手がないフラットデザインのキャビネットを展示(写真4)。「無駄のないすっきりとした形が現代的で人気」(PR担当)。MasterBrandでも、装飾性を削ぎ落としたキッチンを大々的に展示していた(写真5)。

【写真4】HAFELEは取っ手などがないフラットタイプのキッチンキャビネットを展示。

【写真5】落ち着いたカラーのヨーロピアンデザインキッチンがトレンドの1つ。
3つ目のトレンドは家具としてのキッチン。これはキッチンが部屋の中心に配置されてきたことから、他のインテリアとの調和やデザイン性が求められるようになってきているということ。ELECTROLUXは壁、窓枠、床、家具などと色合いを統一した空間展示を行った(写真 6)。

【写真6】壁、床、他の収納と調和する家具風のキッチンを展示したELECTROLUX。

【写真7】収納や作業台、ワードローブなどとコーディネートしても違和感のないデザインが人気。
"組み合わせ"が主流
米国では日本のようなオールインワンのシステムキッチンは主流でなく、パーツ一つ一つを組み合わせて作るのが一般的。デザイナーの数だけキッチンデザインがあり、その多様性こそがアメリカ流だ。
―――≪連載2回≫ 米国キッチン新たな役割、作業場から"集う"場へ
―――≪連載3回≫ 米国、バスタブの「壁離れ」が人気 高機能から"浸かる"に回帰
―――≪連載4回≫ 米国ではキャビネットは自社製作
―――≪連載最終回≫ 水まわりリモデル、暮らしの数だけプランあり

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