日本のトイレは清潔で快適というイメージが世界に広がっているが、その一方で「日本を初めて訪れた外国人は、日本の公共トイレで戸惑いを感じている」という実態がTOTOのアンケート調査(対象600人)で明らかになった。
この調査結果は、TOTOが主に自治体職員向けに全国18カ所で開催の「おもてなしトイレセミナー」で発表された。先ごろ東京・新宿で開かれた同セミナーには、東京、埼玉、千葉の自治体から約80人が参加した。
同調査によると、訪日外国人が日本の公共トイレで困ったことの第1位が「和式トイレの使い方が分からなかった」で27%(グラフ参照)。欧米人はもとよりイスラム教徒やアジア人も使い方に困り、逆向きにしゃがみ込んで使用する人も多かったという。
逆向きで使用すると便器回りが汚れやすいため、TOTOでは「公共トイレの洋式化」を提案。実際に訪日外国人が多い観光地を持つ自治体では、和式から洋式トイレに改修する動きも出ているという。
次に多かったのは「洗浄ボタンの役割や温水洗浄便座の操作方法」に関してで、中には「操作が分からず水を流すのに10分かかった」という外国人も。これについてTOTOでは、英語表記をはじめ、絵入りの分かりやすい操作ボタンの開発や、ボタン配置をルール化するといった対策を進めている。

「おもてなしトイレづくり」の先進事例も紹介
また注目を集めたのは、イスラム圏からの旅行者のトイレ習慣。イスラム教では、用を足した後に水で洗って清めるという習慣があり、イスラム教徒の多い国のトイレには水で洗い流すためのホースがついている。日本のトイレにはホースがないが、お尻を洗える温水洗浄便座がその代わりの役割を果たしており、実際に「温水洗浄便座があるから洋式トイレを選ぶ」という外国人が3割以上に上った。
セミナーに参加した自治体職員からは「観光の現場では特にアジア系の外国人観光客が増えていて、今後トイレの問題が切実になりそう」といった声が挙がっていた。

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