これまでの屋内設置型の耐力壁は、天井や床を壊す必要があり、施工が大変だった。しかし、天井や床はそのままに、壁だけを剥がして取り付けられる耐力壁が登場している。
補天井と床を壊さずに、補強用の金物と横桟をとりつけた後に耐震改修パネルを設置。工期の短縮にもつながる
写真提供/大建工業
取り外すのは壁材のみ
阪神淡路大震災では、家屋や家具の倒壊が犠牲者の死因の約8割を占めている。耐震性は、地震大国日本で安心して暮らすために欠かせない条件になっている。
耐震リフォームの一つとして注目したいのが、室内に設置する耐力壁。これまでの耐力壁といえば、天井や床を壊して壁を付け直すのが一般的だ。
しかし、既存の壁材のみを剥がして、新しい壁に付け替える商品・工法が登場。内壁のみの工事が完了する。施工性が大幅にアップし、工期もぐっと短縮された。
耐力壁の施工イメージ。壁パネルには、ビス打ちの目安となる印もついていて、等間隔の施工も簡便
写真提供/エイム
既存の内装を生かし施工コストを半分に
天井と床を壊すことなく施工できる耐力壁は、古い壁材を取り除き、梁や土台に専用ビスで新たな壁材を取り付ける。または、横桟を取り付けて、耐力パネルを固定する方法もある。ガラス質の複層板やMDF、石膏板などの素材がある。
大壁・真壁のどちらにも施工可能で、和室・洋室を問わず提案できるのも強みだ。クロスの直貼りが可能なタイプや不燃素材のものなど、優れた施工性と安全性を兼ね備えた素材も登場。
大がかりな工事を必要としないため、外壁補強に比べて2分の1~3分の1のコスト削減できる場合もある。
耐震ボードが3分割されていたり、専用ビスとのセットになっていたり、狭い場所への搬入も楽で、扱いやすさに配慮したものもある。
石膏ボードでの耐震リフォームのイメージ。一般の木造住宅をはじめ、古民家やツーバイフォー工法にも対応
画像提供/吉野石膏
地震・火災から住まいを守る
耐震性に加え、100%リサイクル可能・耐火性能も十分という壁材も。地震後の二次災害としての火災時でも、発火しにくい素材で、住まいを火から守る。もし燃えても有害物質は発生しない。
地震・火事・環境に配慮した耐力壁なら、幅広い世代へ提案できる。
耐力壁の耐震性の比較の例。設置状況によって強さは異なる
画像提供/吉野石膏

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