住宅ストック市場の新シナリオ13
keyword 05◆ 民泊
昨年末、流行語大賞にもノミネートされ話題になった「民泊」。急増する外国人観光客の受け皿として広がり始めている。そこに着目し、リフォーム、行政庁への手続き申請を代行する事業者や、出来上がった物件の運営代行を行う事業者も出てきている。
ホテルのような居心地を演出するために内装にこだわる場合も
申請と改修をセット
XXX(エイジィ・東京都中野区)の高田圭社長は昨年3月から民泊リフォームサイト「りのふる」をオープン。すでに、10件超の改修を手掛けている。
「リフォームにかける費用は1居室あたり50万~100万円程度。多くは、クロスの張り替えを中心とした、クリーニングに近いもの、火災報知機の設置などです」(高田社長)
単に部屋を奇麗にしたり、泊まりたいと思わせるデザインであれば良い、というわけではないというのが民泊リフォームだ。
さらに、民泊を開設するエリアによってルールが違う。そのエリアの基準に合わせた住宅にしないと合法的な民泊にならない。民泊のリフォームはエリアにおける基準を満たす居室に改修する必要があるのだ。
「現在世の中に出回っている9割以上の民泊施設は非合法な物件です。保健所の立ち入り検査に遭って営業を断念した物件の話も良く聞きますよ」(高田社長)
そのため、同社では、これらをワンストップで提供している。具体的には、依頼を受けた物件について、申請をするための行政書士との折衝、具体的な改修計画の策定、改修事業者の手配などだ。
「一般的に、申請を依頼する行政書士や回収業者など、物件のオーナーが個別に依頼することになります。そうすると、要件が全て満たされるのかなど自分で把握しなければなりません。そうすると、せっかく改修した物件が要件を満たさなかったり、何度も申請のし直しが発生したり、非常に煩雑になるんです」(高田社長)
ルール違反なし
民泊施設として、改修するために最も重要なのが、合法的な設備、間取りにすることだ。しかもそれはエリアによってルールが違う。一般的には、旅館業法の「簡易宿所」として許可を得る形になるが、一方で東京都大田区や大阪府で「特区民泊」として条例を制定している自治体もある。そのため、どのエリアで民泊施設を申請するかで、物件のルールが変わってくる。リフォーム事業者はそのルールを踏まえて改修を行わなければならない。
例えば、東京都大田区では、「一居室の床面積が25平米以上で施錠可能であること」、「台所、浴室、便所・洗面設備があること」、「滞在期間が6泊7日以上であること」などのルールが課せられている。

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