進む経営者の高齢化
リフォーム会社の経営者の高齢化が進んでいる。事業承継で悩んでいる読者も多いのではないだろうか。では、次世代に円滑に事業承継するには何が必要なのか。現在、事業承継を進めている真っ最中なのがアルファテック(栃木県小山市)だ。望月喜八郎会長がスムーズに承継するための三つのポイントを教えてくれた。
望月喜八郎会長(78) と望月俊彦社長(42)
リレーゾーンが大事
喜八郎会長は現在78歳。建材メーカーに勤めていた若い頃に、アメリカで視察したホームセンターのDIY販売に衝撃を受け、日本に帰国後、商社の後援を受けて小山市内の地場ホームセンターを買収して社長に就任した。複数店を持つまで拡大した後、本格的なリフォームビジネスを志し、1994年に同ホームセンターの小山支店を買収する形でアルファテックを設立した。
社長職を譲ったのは2016年6月。息子の俊彦氏が社長に就き、自身は代表権を持つ会長職に転じた。
なぜ、喜八郎氏は会長職に就いたのか。同会長は次のように話す。
「中小企業は、おもに銀行や役所、商工会など、外との関係を社長の個人的な信頼によって成り立たせている部分が大きいのです。そのため、息子であっても社長であっても、少なくとも今の時点では、外部からすると信頼がないと考えられます。そのため、いきなり経営から手を引くのは会社を危険にさらすことになる」
会長職への就任は、そういった外部との折衝を自身が担うために行った措置と言える。もちろん、いつまでも会長自身が行い続けるわけではなく、少しずつ俊彦社長が担うことによって、信頼を積み重ねてもらう計画だ。
「この移行期間を経営のリレーゾーンと呼んでいます。会社の経営にとって何が一番重要かを考えながら、少しずつ次の世代に委ねていきたい」(喜八郎会長)
後継者に押しつけない
2つ目のポントは価値観の違いを認めることだという。
現在、俊彦社長が取り組んでいるのは、社内の営業体制、人事、経理などだ。同社が5年前から推進している、エクステリアと内装という「内と外のリフォームによって住宅資産の付加価値を高める」という取り組みは俊彦社長が推進している施策だ。
さらに、俊彦社長の専任事項で、スタッフの教育として資格取得を促進。また若手スタッフの勉強会などを積極的に行っている。これは俊彦社長が専務時代に、寝る間も惜しんで取得した2級建築士資格の経験から実施していることだ。

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
WEB限定記事(2025/07/03更新)
-
1654号(2025/06/23発行)25面
-
1654号(2025/06/23発行)31面
-
1654号(2025/06/23発行)21面
-
1654号(2025/06/23発行)21面