2014年4月に入社してくる新卒者の採用活動が無事終了し、早くも2015年度に向けスタートを切った会社も多い。国の市場倍増計画により、リフォーム業界に期待が寄せられる一方、いまだに仕事がきつい、低賃金といったマイナスイメージを払しょくできず、業界全体としては採用に苦戦する状況が続いている。こうした逆境のなか、新卒採用に積極的なリフォーム会社はどう戦ってきたのか。2014年度の採用活動について振り返る。
新卒採用に力を入れるリフォーム会社の採用状況

「見抜き」と「口説き」の割合
新卒者の採用数はフレッシュハウスが前年度から5名増えて12名、アートリフォームも8名増の19名となった。両社とも新規出店が相次ぎ、人材の確保が急務となっている。コニージャパン、安江工務店、山商リフォームサービス、OKUTAも前年より採用数を増やした。
一方、ゆとりフォーム、ホームテックは微減となった。「募集人数自体は前年と変わらず20名程度。採用は前年より2名減ったが、これは採用のレベルを落とさずに活動を行った結果。最初の段階でいかに人を集められるかがここ数年の課題です」(ホームテック)。ゆとりフォームも「数ありきの採用ではない。良い人が来れば積極的に採りたい」としている。
業界の離職率の高さが指摘されるなか、いかに優秀な人材を採り、長く会社にいてもらうかが新卒採用の最重要課題のようだ。アートリフォームの大本哲也社長は「今年は優秀な人が多く、予定より多く採用できたが、人材の獲得はいつでも難しい。優秀な人は複数の内定をもらうので、その中から当社を選んでもらうためのコミュニケーションづくりを今回はかなり意識して行いました」と語る。
人材獲得のノウハウでは、新卒採用を業界で先駆けて行ってきたホームテックで体系化が進んでいる。
「弊社では面接を3回行いますが、一方的な質問形式ではなく、弊社の魅力も伝えられるような双方向の面接を心掛けています。この"見抜き"と"口説き"のバランスを1回ごとの面接で変えているのが特徴です」(採用チームリーダー・櫻井鮎美氏)
同社では2次、3次の面接を行うのは入社3~4年目の先輩社員たち。同社の採用チームの構成員は、従業員数150名のうち、実に約30名にも上る。
OKUTA、7年ぶりの新卒採用
長年のあいだ、リフォーム業界での人材確保は、即戦力となる施工管理や営業の経験者を中途採用するケースが主だった。しかし、近年では新卒採用に力を入れる会社が増えている。OKUTAはしばらく新卒採用をやめていたが、今年から新卒採用を復活させた。
「弊社では第二新卒の若い人の採用も多いですし、そもそも中途採用でも経験を問うておらず、さして新卒採用の必要性を感じていなかったのです。しかしここに来て業界は、リノベーションをはじめ、別視点でのビジネスアプローチが必要となってきた。それに対応するには新しい血というか...若い人のフレッシュな価値観がどうしても欲しいのです」(総務部次長・浜崎信弥氏)
ちなみに、OKUTAが7年前に採用した新卒社員は、現在では店長になるなど活躍の場を広げている。
当然のことだが、新卒者に期待するのは専門的なリフォーム知識でも能力でもない。フレッシュハウスでも「能力は入社してから伸ばしていくもの。それよりも人の話を素直に聞けるかどうか」と話すように、素直さや元気のよさ、熱意といった若さ特有の人格に期待をかけている。また、新卒者に対する採用活動は、学生と接点を持つことにより、近い将来のリフォーム顧客の予備軍をつくり、リフォーム業界のファンを1人でも多く増やすという大切な役割をも兼ねている。

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