「リノベーションを"定食"のように――――」。
こう話すのはシンプルハウス(大阪府大阪市)の山本武司社長。不透明なリフォームの価格やプランを分かりやすく"定食"のようにメニュー化したことで、売り上げを伸ばしている。開発した「シンプルハウスダイレクトプラン(SDP)」というリノベーション商品の平均受注単価は500万円。前期年商は8億円弱で、今期は10億円を計画している。
大型改修に強み
「売り上げの8割がスケルトンリフォームです」と語る山本社長。同社では分かりやすい価格でおしゃれなリノベーションができる「SDP」という商品がヒットし、売り上げを伸ばしている。
SDPの価格は380万円と580万円の2種ある。380万円コースは水まわり設備はそのままで、間取りや内装を一新する。580万円コースは内装全てを一新する。内装やキッチン、洗面室などは数種類から好み に応じて選ぶことができる。具体的には、10種の間取り、5種のキッチン、4種の洗面室、2種のトイレなど(下図参照)。SDPは一品料理のようにフルオーダーではなく、ユーザーはこれらを組み合わせて理想の"献立"を決め、自分だけの"定食"としていく。組み合わせ総数は9600通りだ。
"いえの具"でオーダー
ユニークなのは、既製品だけではなく"いえの具"というオーダー品も選べるという点。カタログの中には、モザイクタイルで作られたキッチンや、多種の木材で作られたアートウォールという可動間仕切りなどが紹介されている。「キッチンだけはこだわりたいから既製品ではなくて造作がいい。毎日使う収納だけはオリジナルなものを入れたい。こういったニーズに対応するのでいわゆる"パック商品"ではないんです。ほとんどの方が何かしらオーダーします」(山本社長)
不透明な価格やプランを分かりやすくし、定額制とはいいながらも、ユーザーの好み、こだわりにも対応するというバランスがSDPの人気の理由。そして、1からフルオーダーでプランニングしていく必要がないため、提供するサービスの品質を安定させやすい。「リノベーションは大規模なものなのでリニューアルのリフォームに比べて社員一人一人の力量の差が出やすい。設計者によってクオリティがまちまちではいけません」(山本社長)
宿泊できるリノベ物件
同社では、マンションをリノベーションしたモデルルームを4件所有しており、PRの場として活用している。天井壁をとったらどれくらいの高さになるのか、コンクリートの素地の雰囲気などが体感でき、リノベ初心者にも魅力が分かりやすい。一泊2000円で宿泊も可能だ。
今後は不動産事業に進出し、事業の幅を広げる。不動産を仕入れてリノベーションした後に販売する、買い取り再販も手掛ける方針だ。「理想の暮らしが買える店を目指したい」(山本社長)
リノベーション事例。既製品とオリジナルの設備・建材を組み合わせ、さらにインテリアのコーディネートまでプロデュースしていく。デザイン性の高さが強み。依頼するユーザーは30~40代が中心。5割が住宅をもっていない。住宅タイプの割合はマンション7割、戸建て3割。中古住宅は割安で、既成の間取りに縛られず自由にリノベーションできる点をユーザーに伝えている。

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