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ダンドリワークス、TEL・FAXによる仕事手配ゼロへ

ダンドリワークス、TEL・FAXによる仕事手配ゼロへ

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リフォーム業界で協力業者に電話やFAXで仕事の手配をする時代が終わるかもしれない――。すべての現場をWEB上で一元管理する全く新しいサービス「ダンドリワーク」に注目が集まっている。開発したのは、ダンドリワークス(滋賀県大津市)。導入した約30社は、100%業務効率化につながる実績を生み出している。

電話+FAX+メールの手配とダンドリワークの違い
電話+FAX+メールの手配とダンドリワークの違い 

言った言わないを無くす

 FAX、電話や手渡しで仕事の手配をするために毎日のように発生するのが、誤送信や言った言わないのトラブル。いくら能力が高い営業マンでも、10個も現場を抱えれば、関係する業者数が100社以上に及ぶケースも少なくない。

 そんな業界の当たり前の日常にメスを入れたのが「ダンドリワークス」だ。すべての現場をクラウド上で管理。追客、契約時、システムに招待された関連業者は、自由に案件の詳細を確認できる。図面や顧客の場所、工事の詳細など、必要な情報はすべてここに集まる。

 スマートフォンやタブレット、最低でもパソコンを持っていれば利用可能。発注・請求の電子化機能ももつため、印紙代の削減や請求業務の効率化も可能になる。

 同サービスを生み出し、自ら滋賀でリフォーム、新築、不動産の会社「匠工房」を経営する加賀爪宏介社長は誕生のきっかけを次のように話す。

 「ある時、伝達や送信ミスを無くす効率化をしないと儲からないと考えました。そこで立てた仮説が、伝達ミスを無くせば、2度手間が無くなり、現場がスムーズに進む。自分たちと共に協力業者のストレスが無くなり、お客さんの満足度も上がるということです」

全ての現場を一元管理
社内の担当者や取引業者の中で、関係するメンバーを指定し、情報共有
業者への発注を管理
現場ごとに、誰にどんな発注をしたかを記録。追加発注も追記可能
業者からの請求管理
紙でもらっていた請求書をペーパーレス化。請求内容もオンライン上で確認できる

職人が使える内容に

 そして、今から約3年半前、開発に着手した。その際、もっとも重要視した点が、協力業者が使えるシステムという点。現在、市場に流通しているサービスは、元請け視点で、下請け業者を管理、案件ごとの状況を掌握するための内容になっている面が強い。職人に使わせようと強制すると、場合によってはトラブルにつながっていた。

 同社では、実際に元請け会社を運営する強みを生かした視点で「現場の問題点を無くす」システムを構築していった。

 開発から半年、出来上がった「ダンドリワーク」は、とてもシンプルなシステムだ。まずは、現場ごとにファイルを用意。そこに、協力してもらいたい業者を招待する。あとは、必要な情報のやり取りをファイル上で行うだけとなる。

 匠工房では、このダンドリワークスを導入して丸3年。200から250社の協力業者に利用を強制することなく、活用率が100%になった。結果、元請け側は約3割、業者側は約2割の業務効率化に成功している。 

 「作業時間が減るので当然、利益向上につながります」(加賀爪社長) 

 現場で起きている具体的な効率化事例は幅広い。FAXで図面のやり取りが無くなったため、寸法がつぶれて見えないといった電話のやり取りが無くなった。デジカメで撮った写真を渡すため、わざわざ会社に訪問する職人がいなくなった。「ここに車を止めないでください」といった各現場の注意事項の伝え忘れが解消された。

 口頭でのやり取りで起きる発注金額と請求金額の違いが無くなった。請求作業が効率化されるメリットも大きい。

経理の人数削減に

 「経理が数人いらなくなりますよ(笑)」と加賀爪社長。一般的なリフォーム会社で月末に必ず発生するのが、発注と請求の金額確認。ダンドリワークでは、この発注金額が履歴としてきちんと残っているため、そもそも協力業者側が請求書を出す必要もなく、元請け側は経理作業が軽減される。さらに、追加工事もその都度、情報として加えられるので、例えば合計で20万円の工事も通常工事で18万、追加で2万円と内容の明確化が可能だ。

 さらに最近、工程表機能が追加された。通常は、Excelで作られるケースが多い工程管理作りがシステムの機能でできるようになった。メリットを「会社全体の工程を総合的に見ることができる点」と加賀爪社長は話す。例えば、3カ月先に大工が足りなくなりそうといったリスクも明らかとなる。

 また職人ごとの仕事状況も抽出できるため、忙しくて仕事を頼めないと思っていたが、現場Aと現場Bの合間に3日間だけ仕事の空きがある―そんな詳細情報も瞬時に把握可能。このほか、職人自ら請けられない日の状況も入れられるので、元請け企業は、頼めない日程が一目瞭然となる。

 価格は、お試しの30アカウントが月1万円、100アカウント月1万9800円、200アカウント月2万9800円、300アカウント月3万9800円(それ以上の設定もあり)。発注・請求機能はオプションでプラス1万5000円。

 加えて、初回導入時には、30万円(交通費込み)で社員と協力業者を集めたセミナーをそれぞれ、加賀爪社長が自ら行う。説明会で協力業者の反発も少数出るが、今まで100%導入を実現できている点が強みだ。

 「まずは3年以内に1000社に導入することが目標です」(同社長)
 業界で恒常化していた"ダンドリ"(段取り)のトラブル減少を進めていく。

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