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"生涯価値"で20万商圏30億円へサンプロ

"生涯価値"で20万商圏30億円へ サンプロ

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リフォーム新ビジネス ≪キーワード:生涯価値提案≫

 地方都市でいかに生き残っていくか―全国各地に約7万5000社(当社推計)あるといわれるリフォーム会社の多くが、今後、人口減による市場縮小に直面することになる。そこで「シェア向上」「新しい商品提供」等の必要性が増している。そんな中、サンプロ(長野県塩尻市)はイチ顧客と継続的に取引をするストック型ビジネスで前期売り上げは前年度比52%増の23億2000万円。今期も28億円への増収を計画している。

サンプロ (長野県塩尻市) 青柳弘昭社長サンプロ (長野県塩尻市) 青柳弘昭社長

 同社が考える企業コンセプトは「小さくても存在価値が高く、強い会社」。20万世帯という限られた世帯数の中で、シェアを高め、いかに支持される会社になるかに重きを置く。元々リフォーム会社として1996年に創業した同社であるが、2005年に新築事業を開始。現在は不動産事業も本格的にスタートし、住宅事業全般に対応できる体制を構築している。

 青柳弘昭社長は「事業を増やすことで自社の経済圏を広げることが大切」と話す。それは1回ではない一生で売り上げを考える「生涯価値(ライフタイムバリュー)」を意識した経営戦略。

 一度、リフォームで信頼関係ができた50、60代の顧客からは「息子の家を頼みたい」と相談される上、老後は施設への入居などから不動産の売却依頼が来る可能性もある。各事業のシナジー効果で、競争がない中での顧客獲得が目指す姿だ。

 ショールームで雑貨事業を営むのも経済圏拡大の一手。儲けるためではなく、雑貨というアイテムで来客を増やし、メーンとなる住宅事業につながる接点をつくる。「家具屋などの買収もあり得ます」と青柳社長。今後もリフォーム、新築、不動産が主業務となるが、住まいから派生する事業への取り組みを行っていく考えだ。

サンプロの本社1階にある雑貨SHOP
サンプロの本社1階にある雑貨SHOP。
インテリア雑貨、照明、キッチン用品、洗面ボール、スタイル水栓金具、アイアン小物、ガーデニンググッズなどが揃う。雑貨により来客を増やすことが目的
本社2階は空間を楽しむショールーム
本社2階は空間を楽しむショールーム。
同社の特徴でもある自然素材を多用した内容となる

競争優位性が重要

 ただ、事業拡大において「競争優位を生むポジション」が採算性を取る上で重要と青柳社長は話す。例えば新築事業で言うと、地域のパワービルダーが圧倒的なシェアを取っているローコスト分譲分野では、厳しい戦いになることは目に見えている。

 そこで、設計士と相談し、自然素材で作るデザイン住宅というコンセプトの元、他社と差別化を行い、建物で税別2600万円ほどの価格帯の住宅提供を開始。今期新築事業で14億円の売上高を見込んでおり、まずは単体事業で成り立つモデルを作り上げた。

 そして、次のステップは、リフォーム、不動産事業とのシナジー効果を発揮しやすい商品展開。今年から従来よりも価格を抑えた1500~2000 万円の住宅提供により、「中古住宅+リフォーム」と近い価格帯となり、新築と中古リノベを選択できる形となる。新アイテムで、一次取得者層への提案の幅を広げていく。

 リフォームから、新築、不動産と事業の枠を広げ、次に同じ新築事業でも異なる価格帯の商品を展開するなど細分化。さらに、各事業とのシナジー効果を進めることで、次第に地域でのシェアを獲得。青柳社長はこの20万世帯で「30億円は絶対にできる」と話す。

宣伝広告費が1年で0.5%改善

 地域シェアを高める戦略のメリットに、利益率を向上できる点もある。他事業からの紹介案件が増えるとともに、リフォーム、新築、不動産、それぞれの現場で「サンプロ」の社名を目にする機会が増える。実際、宣伝広告費の削減効果が出ており、前期は売上高に対する宣伝広告費の割合が0.5%改善し、2.5%だった。

県内トップオブマインドに

 将来目標について青柳社長は「長野県内で住生活事業においてトップオブマインドになること」と話す。現在の商圏で、一定の地位が確立できてきたことから、今年は初めて商圏を広げる。

 ただ、展開する先は長野県内。現在とまったく同じビジネスモデルではなく、地域に合わせたカスタマイズを行い、新天地に進出する予定だ。

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