家主気付かぬ瑕疵も発見
欧米ではすでに当たり前になっている、中古住宅売買の際に行う住宅診断(ホームインスペクション)。日本でも法整備が進み、活発化していきそうだが、実際の仕事現場を知る人はまだ少ない。地盤調査と住宅診断を行うジャパンホームシールド(東京都墨田区、以下JHC)の協力の下、インスペクションの現場を取材した。
(1) 外壁
主にクラック、雨染み、シロアリ被害をチェック。
ウッドデッキや給湯器で隠れている部分も極力確認する。写真は定規でクラックの長さを図っている様子
目視、触診で家を診断
4月某日、LIXILグループが保有するモデルハウスでインスペクションを実演してくれたのは、JHCの検査員、渡邊裕樹さん。これまで10年間、検査業務に携わってきた。
戸建ての場合、検査は、外壁、壁・天井、床、設備、屋根裏・床下といった流れで行う。
まず外壁では、壁のクラック、軒やサッシ回りの雨染み、シロアリ被害の目安になる蟻道(ぎどう)をチェックする。また玄関ドア、門扉がスムーズに開閉するか、動作も確認する。
「ここ、基礎に凹みがありますね」
検査の最中、渡邊さんはウッドデッキに隠れた部分の基礎の凹みを発見。構造上問題はないものの、発見した不備は、写真を撮り、メモ帳に記入していく。
続いては室内。まずはぐるりと歩き回り、壁・天井・サッシの雨染みなどをチェック。外壁に雨染みがあった場合は、その内側にある室内壁も入念に調査する。さらにドアやカーテン、ロールスクリーンはすべて動かし、立て付けが悪くないか、ゆがんでいないかチェックする。
また床の傾斜も確認。「レーザーレベル」と呼ばれる測量機器を使い、床に傾きがないか調査。傾きが大きい場合には、報告書に記入する。また壁のゆがみも同時にこの機器で調査できる。
(2) 室内
室内は特に雨染みに注意する。他にもドアやカーテン、ロールスクリーンの動作も確認。
「レーザーレベル」という検査機器で、床の傾きも確認
今回の調査では、2階子供部屋の木製引き戸に、反りがあって開かないという不具合を発見した。開けっ放しになっていたため、同モデルハウスの担当者も「今まで気づきませんでした」と驚いた。

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