売り上げの中心をサッシ工事が占める「たなべ物産」(東京都八王子市)は新たに賃貸住宅リフォーム分野に参入し、実績を増やしてきている。単なる現状回復のリフォームではなく、付加価値をつけたリノベーションを行うことで、人気物件へと生まれ変わらせている。

1階にはバルコニーと専用庭が付く
同社が最近手掛けた事例の一つに「AURA 243多摩平の森」というプロジェクトがある。これは昭和35年に建てられたUR都市機構の団地。築年数は50年を超える。入居者が新設された団地へと住み替えることになり、全24部屋が空室となっていた。同社はこの賃貸住宅に付加価値を付けて新たな入居者を呼び込むというコンペで同プロジェクトの事業者認定を受けた。再生を行った結果、現在はすべての部屋が満室となっている。家賃も元々は6万円弱だったものを9~12万円に上げた。それにもかかわらず今も入居希望者が後を絶たない人気物件となっている。
人気の要因となったプランについて田辺裕康社長はこう話す。「住宅の周りに空いていた土地を畑にして入居者が借りられるようにしました。これはデンマークの"コロニーヘーヴ"という生活文化を参考にしたもの。週末になったら畑で野菜を作って仲間たちと過ごす暮らしのことですね」。
この物件の1階住戸はバルコニーと30〜50平米の専用庭付き。「通常賃貸住宅は1階が敬遠されがちですが、これは1階から埋まっていきました」。さらに棟の周りには1区画30〜50平米の貸し庭が9区画ある。
また、もっと借りやすいように1区画8平米ほどに区分けした"貸し菜園"も45区画ある。
ここでは手ぶらで来て農作業ができるように農機具が用意され、週2~3回農作業を教えてくれるスタッフもいる。
バーベキューなど入居者の交流パーティーなどイベントも定期的に開催。従来の賃貸住宅にはなかった"暮らしを楽しむ"価値をリフォームによって付加できたことが成功のポイントだ。

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