一般社団法人「街と暮らし環境再生機構」(神奈川県川崎市)は、赤外線カメラを活用して既存住宅の劣化や雨漏りの診断を行う専門家「赤外線建物診断技能師」の育成を強化する。同団体では、財団法人職業技能振興会と協力し、昨年10月から技能師の資格制度を開始している。これまでに10回ほど研修会・試験を行ってきており、現在の資格取得者は172名となる。診断の実施件数は約400件。研修会では、撮影する角度、撮影時の環境の条件、画像の判断の仕方などを学ぶ。11月には、東京、大阪、名古屋で開催を予定している。

▲赤外線カメラを使った診断士を育成
同団体が推進している赤外線カメラによる診断は、既存の診断に比べて、雨漏りや外壁材の剥がれ・めくれなどの劣化を発見しやすいことが特徴だ。
診断方法は、住宅の外壁を専用のカメラを使って撮影。温度の違いによって色が変化して写り、そのムラをもとにして診断を行う。「例えば、雨漏りによって壁内に水が滞留している場合は、その部分だけ温度が低いため、周囲と異なる色になって現れます。従来の診断方法は、足場を掛け、外壁面を打診しながら音などでチェックを行い、建材をめくって調べるという方法でしたが、このセンサーなら、そのような手間のかかることはありません」(中嶋俊一常務理事)
資格取得者が所属する企業の多くはリフォーム会社、工務店。これまでは自社で施工したOBから雨漏りの診断をしてほしいといった依頼があっても、通常の診断ではコストも手間もかかり、なおかつなかなか雨漏り箇所を特定できずに困ったケースが多かったという。 また、同会では、事業者から、第三者として診断をしてほしいという要請を受け、プロユーザー向けの診断師派遣も行っている。
「今後は、断熱効果の診断も行います。5年後には技能師を3000人くらいに増やしたい」(同理事)
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