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≪テーマ : 新しい住文化の誕生≫
~ トレンドはカスタマイズからDIYへ ~
◆今週のゲストコラムニスト◆
SUUMO 池本洋一編集長
≪Profile≫1995年上智大学卒業。同年リクルート入社。住宅情報編集部、ほしいリゾート編集部にて、記事制作・広告営業に携わる。その後、都心に住む編集長、住宅情報タウンズ編集長、SUUMOマガジン編集長を経て、2011年にSUUMO編集長に就任。
戦後日本は、人口増加の速度に住宅供給が追いつかなくなった時代があった。住宅を大量供給するため、画一的な間取りと設備の"規格型住宅"が大量生産された。当時はそれが正しい選択であっただろう。だが住まいの規格化は「住まいをこんなふうに彩ろう」、「こういう工夫を加えてみよう」という思考を奪ってしまった。
特に賃貸においては"退居時には原状回復"の原則により〈理想の暮らしに合わせて、住まいをアレンジする〉のではなく、〈住まいに、暮らし方を合わせていく〉ことがあたり前になってしまった。
変化が起こったのは2011年だ。この年、SUUMOでは賃貸カスタマイズの特設サイトを設置。先行する実践者の取り組み紹介をスタートさせた。新しい"大家さん像"を世の中に提示しその後TED TOKYOの舞台にもあがったロイヤルアネックスの青木氏、真っ白い壁紙ばかりの日本の住宅に異論を唱え、壁紙という切り口から個性を与えているWALPAの濱本氏など。さらに2011年末。賃貸カスタマイズがNHKの情報番組で取り上げられた。その後は民放各局でも度々特集を組まれたほか、レオパレス21の『お部屋カスタマイズ』や、UR賃貸の『カスタマイズUR』など大手各社も取り組みを本格化。その結果、現在、『SUUMO』には2万件のカスタマイズ可能物件が掲載されている。
2015年。トレンドは、カスタマイズからDIYへ。2014年12月に『SUUMO』は「リノベパーティ」を発表した。自分の手で壁を塗り、張り、床材を設える。ひとりでやるのではなく、仲間(=パーティ)とやる。わいわいと楽しみながら住まいをつくり、日が暮れてきたらビールで乾杯。DIYをツールとしたまさにパーティ。すでにDIY可賃貸はちらほら出ており、それを借りて楽しむ若者も増えている。弊社内でもしかりだ。若い世代から新しい"住"文化が生まれてきている。弊社もこの1月に賃貸の検索に「DIY可」物件を選べる検索フラグを加えた。DIYを取り巻く業界のニュースは毎日のように飛び交う。前述の輸入壁紙のWALPAが銀座、新宿伊勢丹に進出。二子玉川には3月、4月と相次いでDIY専門ショップが登場した。
カスタマイズにDIY。これは企画化住宅に真っ向反発するものではない。実は日本人の住宅のフルオーダー志向は12%しかない。一方、企画化+一部カスタマイズは50%超のニーズがある。多くは一定の「トッピング」程度が望みなのだ。業界の皆様にはこの潮流を知るべく、事業に生かすべく、まずは皆様自身がDIY経験をしていただきたい。百聞は一見にしかず。経験から話すことは説得力が違う。公私混同のDIY人がこれからの業績を伸ばすKEY人材となると考える。
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