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性能向上リフォームのすすめ~自然災害に強い住宅を~

性能向上リフォームのすすめ ~自然災害に強い住宅を~

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パワフル×スマートの性能アップ

 日本では、"修理・改修することがリフォーム"ととらえられることも少なくない。しかし年月の経った既築住宅は、修理リフォームで難点をカバーできたとしても、安心・安全で快適に暮らせる、新築住宅のような高い性能をそもそも備えていない。そこで修理・改修にとどまらず、もっと根本から家の性能を上げて、住み心地のよさと安全性を大きくアップする、家の「性能向上」リフォームを提案しよう。

2060年には8600万人、現在の約67%に

 いま日本が直面しているのが、人口減少と高齢化、石油エネルギーの枯渇だ。人口は緩やかに減り続け、予想では2060年に8600万人、現在の約67%になるという。社会が老い、縮んでいく中、新築住宅の需要は減り続けている(図1)。

新設住宅着工戸数の実績と予測の推移

新築住宅の着工は景気変動に大きく左右される。1989年、1996年の着工数の増加は消費税導入前(それぞれ3%、5%)の駆け込み需要。2006年は金利上昇前の駆け込み需要であった。次の消費税導入は2014、15年。2013年が最後の新規着工の駆け込み需要となるかもしれない。

※野村総研インフラ産業コンサルティング部『2020年の住宅市場』より(2011年8月)。国土交通省『住宅着工統計』、総務省『住宅・土地統計調査』『国勢調査』、国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計』より作成]

 また東日本大震災以来、原発停止が続いているが、高水準のままの原油価格が経済を圧迫している。その一方、脱原発はまだ世界の趨勢とはなっていない。

 そこで市場が切り開くべきポイントは3つだ。

 1つは「効率を高める」こと。エネルギー効率の向上、社会の種々のスキームの効率向上、インフラの機能向上を図る。2つ目に「長寿命化」だ。投資額は極力抑え長く使える工夫をする。3つ目が「新しい価値観」だ。高福祉国家・スウェーデンのような、豊かな人生と生活への取り組みを見出し、見習う。

 「住宅」を、今までの寝起きするだけの場所でなく、人生と毎日の時間を安全に豊かに送る「家」にする。それを可能にするのが住宅の「性能」アップなのだ。

Q.住宅の性能って何?
性能が高ければ資産価値が上がる

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法〈ヒンカク〉」(2000年)を制度化し、具体的な血肉を与えたものが、住宅性能表示制度。これによる住宅性能表示を見れば、住宅の品質の程度、性能が分かり、同時に品質が保証される(図4)。

図4 住宅性能表示・「構造の安定」のイメージ

 さらに新築の場合には、性能表示制度で満たしている等級が、高ければ高いほど「フラット35」のような住宅ローンや、保険上の優遇措置が受けられるようになることも大きい。

 また、既築住宅の場合、資産価値の向上が認められ、後の売買で優遇されるというメリットにもつながる。住宅の資産価値、ステータス、社会的ランクが上昇すると考えてもいい。

Q.性能向上リフォームとは?
自然災害に強くする

 2012年3月下旬に、太平洋沖に延びる南海トラフ巨大地震の被害想定が発表された。国の有識者会議によれば、マグニチュード(M)9・1の地震が起きると、最悪クラスで220兆3千億円の経済被害が出るという。国内総生産(GDP)の42%、東日本大震災の10倍を超える規模だ。

 これを受けた政府、各自治体は、これまでの防災計画の大幅見直しを突き付けられた格好だ。住宅の耐震化率は約79%(2008年)で、政府は「2015年までに耐震化率90%」を掲げているが、今回の被害想定では、耐震化率が100%であれば、被害をもっと低く見込める、としており、より早く、より高い実施が求められよう。

耐震・耐風・耐積雪500年に1度レベルに対応

 今回の発表を待つまでもなく、品確法の性能表示の筆頭には、「地震などに対する強さ」である「構造の安定」が挙がっている。等級制度化されているのは耐震・耐風・耐積雪で、それぞれ特徴的な指定がある。

 災害に対しては、住宅の「剛性」の向上が基本だ。地盤と基礎部分の耐久力を構造計算したうえで、倒壊/損壊それぞれで、耐久力を等級化している。等級は数値が高いほど性能に優れていることを示す。

 風害、雪害については、50年に1度、500年に1度の区切りで暴風雨レベルを数量化し、それに耐え得るかどうかを基準としている。

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