建物でいちばん傷みやすい部分といえば、いつも太陽光や雨風にさらされている外壁。外壁の損傷は建物の劣化にもつながる。定期的なチェックとメンテナンスで、強く美しい外壁を保ちたいものだ。
新築から10年経過したら外壁も塗り替え時
外壁の塗り替え時は新築から10~15年が目安とされる。外壁は太陽光(紫外線)や雨風を年中直接受けるので、日々劣化が進んでいる。壁の劣化は、退色・カビ・ひび割れなど一目で分かる場合はもちろんだが、手で触れたときに白い粉が付くチョーキング状態でもよく分かる。チョーキングは、紫外線で分解された塗装膜。劣化が激しいほど、この白い粉は大量に付く。
塗料の価格は耐久性に比例
意匠性に差はない
外壁塗料にはどんなものがあるだろうか。
現在使われている塗料には、価格の高い順にフッ素・シリコン・ウレタン・アクリルがある。
ここで抑えておきたいのが「価格は耐久性に比例する」という考え方だ。価格の高い塗料は耐久性もそれだけ良い。塗装リフォームには塗料費に加え施工費がかかることを考えると、塗料の価格が安くても頻繁に塗り替えていると、結局コスト高になるのは明らかだ。
意匠性は塗料の種類でほとんど差はない。
10年以上持たせたいならフッ素かシリコン
フッ素塗料の価格は、1平米あたり約3500~5000円(塗装費別)、40坪の住宅では塗装工事を含めると約100~140万円と高額だ。表面の塗装が硬いので、耐久性と防汚性に優れているのが特徴。一度塗れば次の塗り替えまでの期間は15年から20年、塗料の中では最長だ。
次に耐久性が良いのがシリコン塗料。現在ほとんどの住宅の外装に使われている。費用はフッ素に比べ1平米あたり約2000~3000円、40坪の住宅では塗装工事を含めると約90~110万円と安め。弾力性と耐久性・防汚性に優れている。
とくに塗って固まると表面が滑らかになり、汚れが付きにくい。塗り替え時期はフッ素ほどではないが、10~14年程度長持ちする。価格と耐久性のバランスを考えると、コストパフォーマンスが高い。
価格を抑えたいならウレタンかアクリル
ウレタン塗料は厚みと光沢がある。価格、耐久性、機能性のバランスが良い。対候性、耐水性、耐薬性に優れ、柔らかい性質をもつことから細部や下地の塗装に向く。ただ、フッ素やシリコンに比べて、防汚性が低く汚れやすい。耐用年数は8~10年程度。価格は1平米あたり2000円前後、40坪の住宅では塗装工事を含めると、90万円前後とさらに安い。
アクリル塗料は20年ほど前までは最も一般的に使用されていた。しかし、他の3塗料に比べ耐久性は格段に低く、ひび割れやチョーキングが起きやすい。耐用年数も5~7年程度と短い。価格は1平米あたり2000円未満、40坪の住宅では塗装工事を含め約65万円と最も安い。
現状把握と将来のニーズから塗料を選択
外壁リフォームは施工工程の多い工事だ。最短でも10日以上かかり、天候の影響を受けやすいので、日程には余裕をもって臨みたい。
キーポイントとなる塗料の選択には外壁の素材と状態を確認して、予算とライフサイクルから判断するのが良いだろう。
遮熱・防カビ・抗菌などの機能付加タイプも
最近では耐久性以外に、優れた機能をもつ高性能塗料がある。その1つ「光触媒塗料」は、太陽光で汚れを分解し、雨など水分で汚れを落とすセルフクリーニング機能を持つ。防カビ・抗菌性もあるので、価格はフッ素よりはるかに高い。 このほかに湿気と空気を通しやすくする「透湿型塗料」、太陽熱による建物の温度上昇を抑える「遮熱塗料」などもある。

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1421号(2020/08/17)2面
-
1367号 (2019/07/08発行) 21面
-
1348号 (2019/02/11発行) 12面
-
1336号 (2018/11/12発行) 3面
-
1332号 (2018/10/08発行) 5面