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"リフォーム"で日本を変える(2)「我が家」は本当に安全か?

"リフォーム"で日本を変える(2) 「我が家」は本当に安全か?

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 近年目立つ、災害の激甚化。震災、ゲリラ豪雨や局地的な大雨など、大規模で甚大な災害に襲われたとき、我が家はこれらに耐えて命と資産を今後も長く守ってくれなければならない。しかし築何十年の家は、果たして本当に「安全」だろうか? 

 キーワード=「安全」 

高齢者の事故77%が住宅内で起きている

 高齢者が遭遇する「事故」は住宅内が多く、その5割以上が、「転倒」「転落」だ(図1)。

図1 家庭内事故の内容(65歳以上)・発生場所家庭内事故の内容(65歳以上)・発生場所家庭内事故の内容は、65歳以上では、転落の30.4%が最も多く、階段などの段差から足を滑らせての転落が多いと予想される。次いで転倒の22.1%が多い。65歳未満と比べ、転落、転倒の割合が圧倒的に高い。

 高齢期の「転倒」「転落」による故障や骨折のために、歩行が不自由になり、筋力の低下、寝たきり、さらには認知症の発症につながる例は多い。

 中でも年々増えているのが、太ももの付け根、大腿骨と腰骨をつなぐ「大腿骨頸部」の骨折(図2)。人工骨の置換手術が行われる。長期のリハビリが必要で、筋力の回復は個人差が大きい。

 高齢者の場合、大腿骨頸部骨折から寝たきりになるケースが多く、25%が施設に入り、20%が1年以内に死亡、という統計もある。

 また認知症傾向にある人が骨折すると、置換手術とリハビリが困難視されて、手術ができずベッドに寝たきりを強いられる。リハビリに本人の自覚と努力が必要だからだ。
高齢期のケガは、本人の生活を破壊し、家族に大きな負担がのしかかるきっかけになる。段差をなくす、手すりをつける、などのバリアフリーリフォームは、「生活を守る」「QOL生活の質を守る」ためのものと言えよう。

図2 足の付け根の骨の骨折 年間推計発生患者数の推移足の付け根の骨の骨折 年間推計発生患者数の推移足の付け根の骨折(大腿骨頸部骨折)発生数は、高齢化・寿命の延びもあって年々増加していることが分かる。

階段は下り始めと終わりが危険

八藤田 猛 教授 日本大学理工学部まちづくり工学科 / バリアフリー住宅をはじめ、万人に安全快適な建築デザインを提唱。工学博士

家庭内事故による死者は交通事故死者7000人に対し1万2000人。その1位が平地でのつまづきや滑りが原因です。滑りやすい床、わずか数ミリでも段差は取り除きましょう。階段では下り始めと終わりに事故が集中しています。段鼻のガードや手すりなどをリフォームで取り入れましょう。(既掲載より抜粋)

―――続

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