産業界はオイルショック以来、長らく省エネを追求してきている。いま、さらなる省エネの余地を残すのは一般住宅だ。エコ先進国のドイツが推し進めるように、住宅の気密と断熱がその鍵となる。
キーワード=「省エネ」
「省エネ基準法」義務化が迫る
2020年施行の省エネ基準法義務化に向けて、関連業界は最後の対応に追われている。義務化によって、待ったなしの省エネ対応を迫られることになる。
エネルギー自給率が6%という非常な危機的状況にあって、省エネの推進は国策であり、「住宅のリフォームが日本を変える」期待は高い。
背景にあるのは、依然続く原油価格の高騰だ。震災後の一時的現象と思われていたが、中国ほか経済発展途上にある国の多くで、自動車の保有台数が急上昇したことで(図1)、原油価格もじりじりと上昇を続けている(図2)。
図1 世界の自動車保有台数の推移
主に中国、中東、アフリカ諸国で自動車の保有台数が飛躍的に伸びており、原油価格を上昇させている。
図2 WTI原油価格の推移(月次)
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は西テキサスで産出される高品質原油。流通量が多く、市場の透明性も高いため北米の原油価格だけでなく世界経済を占うインデックスとして使われる。世界的な原油価格の上昇圧を受けて原油価格はジリジリと上がっている。この傾向は数年は続くと見られる。
日本は1979年の石油ショックで初めて「省エネ」の洗礼を受けたわけだが、徹底的に絞られたのが産業界だ。
当時は鉄鋼業を中心にした、莫大なエネルギーを消費する重工業が日本を牽引していたが、製造業全体で消費エネルギーを徹底的に抑制、消費を少なくする構造変換を果たしていった(図3)。
図3 消費者物価指数の推移(エネルギー)
インデックスの比較なら現在はオイルショック時代と同レベルにある。そう考えると今の時代は緊迫感が薄すぎるとも言える。
窓の断熱で冷暖房費3~5割減
省エネリフォームは、まず開口部から始めたい。熱の移動のほとんどは窓、扉を介して起こるからだ。夏の暑さの70%、冬の寒さの50%は「窓から」入ってくる。窓の断熱・気密を完璧にすれば、単純計算で、冷房費は3割、暖房費は5割減らすことができる。
窓はLOW-Eガラスの需要増が著しいが、もっと簡単な内窓設置や、熱抵抗値の高い樹脂・木製のサッシに変えるなど、手軽なリフォームを勧めるところから始めてみてはどうだろうか。
―――続

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