部分断熱リフォームを行うと高齢者の健康に好影響を与えることが、一般財団法人ベターリビング(東京都千代田区)の調査で明らかとなった。リフォーム後、生活する高齢者の日中最高血圧、平均血圧の値が低下。起床後の血圧上昇も抑制されることが確認された。
調査は同団体が2011年度に組織した「健康長寿住宅エビデンス取得委員会」(高橋龍太郎委員長)が実施。改修による住まいの暖かさ改善が居住者の健康状態にどう影響するか、築20年以上の住宅に住む60歳以上の53人を対象に実証実験を行った。対象物件は39棟。住まいを改善するための改修内容は、家全体ではなく、利用頻度が高いリビングやダイニングだけなど特定空間に限定した。
「今までの断熱改修は省エネルギーで進められた面がありましたが、それに加えて、特に高齢期の健康面に優良ではないかと思われました」(高橋委員長)
我が国の季節別の死亡者を見ると、夏に減少し冬に増加する傾向がみられる。最少月の6月と最大の1月の差は約1.3倍。特に、入浴中の死亡者の差を比較すると数倍に膨れ上がる。つまり、室内の温度環境が死亡の季節変動と関係しているとの仮定から、4年にわたる調査を行ってきた。
健康への影響を図る上で、今回着目したのが血圧。血圧は心・脳血管疾患のリスクになる上、転倒や入浴死に大きく関与している可能性が高い。
実証データを採るにあたり、協力高齢者が居住する各住戸の床に充填断熱を施し、気流止め工事を実施。また、窓は内窓設置もしくはガラス交換をした。その上で生活協力者の改修前および改修1年後の血圧を比較した。
結果、改修前134.8(平均値)だった最高血圧は130.9に減少。98.4だった平均血圧も95.9となった。加えて、起床後の血圧上昇が抑えられることがグラフ分布状況で明らかとなった。
同調査の最終成果は3月5日に発表を予定している。

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