不動産事業を行う武蔵野不動産相談室(東京都杉並区)は親子間・親族間の中古住宅売買の取引数を増やしている。特に60代の経営者を中心に、住宅ローンの支払いが滞るケースが増加。全国から月に3~4件の依頼が入り、その半数以上が取引成約時にリフォームを行っている。
親子間・親族間売買は税金面などの問題から不動産売買の中でも困難な取引であり、成立まで時間も必要となる。武蔵野不動産相談室では以前から同売買の取り扱いをしてきたが、ここ最近、問い合わせ・依頼数が増えてきていると畑中学社長は話す。
「相談件数は400件を超え、依頼数は累計で150件以上になっています。来年度に中小企業金融円滑化法が延長されなければ、より取引は増加すると思われます」
「中小企業金融円滑化法」とは平成21年に施行された法律で、厳しい経済金融情勢に鑑み、中小企業や住宅ローンの借り手に、できる限り貸付条件の変更を推奨するものだ。今年の3月30日の発表では同法律により貸付条件の変更を行った数は、12万7074件、金額にすると2兆円以上となる。つまり、同法律が来年3月に効力を失えば、金融機関が住宅ローン返済の延長分の回収を進め、家を失う人が増加する可能性がある。
法律が失効すれば「来年の4月以降、質の高い中古住宅が市場に増える可能性があります。そうなれば、子供がローンを引き継ぐケースも増えてくるでしょう」(畑中社長)

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