リフォーム経営の鉄則 「プランニング」編
リフォーム経営の鉄則13回目のテーマは「プランニング」。お客さんの好みに沿った案を提案するー。重要なことだが、それだけでは心を掴むのは難しい。受注に繋げるには、期待を「超える」プランを作成する必要がある。そのためには何をすべきか。3つのポイントを紹介する。
【まとめ/編集部・後藤梓】
【1】現場の声を集めて生かそう
【2】他社にはない!自社の強みを発揮しよう
【3】プランは比較できるようにしよう
【1】現場の声を集めて生かそう
プランニングには、商材やリフォームのトレンドなど様々な知識が必要だ。日々研究を重ねて増やすのはもちろん、経験を重ね現場では何が求められるか、知識を常にアップデートし続けるべきだ。
1-1 顧客の声やSNSをチェックしよう
メーカーの情報をチェックしショールームに足を運び、機能面といった基本的な知識を取得するだけでは、プランニングにはまだ足りない。使用感や実際どのように活用されているかも、参考にする必要がある。
- 「リフォーム後の顧客の感想」を生かす
- 施工後に訪問し挨拶する際『ここが良かった』『こういう改装にすればよかった』など使用感についてもヒアリング。『この商材を使ったらどのように便利になるか』と暮らしを体験した上で得た声をプラン作成時に参考にしていく。
- サンエース(兵庫県神戸市)
- ピンタレストを活用
- 例えば、「リノベ キッチン」と検索すると、オシャレなキッチンの画像が数多く表示される。欧米風のきらびやかなデザインのものから、シックな色合いの落ち着いた様式のもの、和風のものなど。さまざまな投稿を、企業、一般ユーザーのもの問わず閲覧可能だ。
組子式の間仕切りのアイディアをピンタレスで仕入れ、開放的な暮らしを実現できた
- 「一般ユーザーの投稿を参考にすることが多いです。企業が売りたい、流行らせたいデザインではなく、今実際に人々のなかで流行っているデザインを見ます。どのような生活が好まれているのか調べ、プランに反映しています」(井村優介社長)
- パワーハウス(福岡県福岡市)
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1-2 社内でプラン力を競おう
得た知識は貯めこむだけで終わってはいけない。プランを作成することで実力がつき、さらにどのような情報が必要なのか判明してくる。そのためには何度も実力を試せるような機会を作り、経験を積んでもらおう。
- 毎月1回設計検討会「カンファレンス」を開催
- 担当の営業マンが案件の内容を説明し、他のメンバーたちがプランを作り合う
- 「物件が出てくるたびにやっています。カンファレンスがスタッフのプラン力を磨く場になっており、他のメンバーのプランを見ることで、こういうアイディアがあると気づき刺激になります」(事業責任者兼社長代理の尾臺佳正氏)
- とちぎリフォーム(栃木県栃木市)
- 社内コンテストを催す
- 月に1度「照明」「収納」といったテーマを定めプランを造り、匿名でどの案がいちばん良いかを発表し、投票し合う。
- 設計を担うプランニング室だけではなく、施工管理や営業など他部署も参加。
- 1年通じて最も得票率が高い社員が社長賞を受賞。斬新なアイディアを増やすため実施しており、自分にはない発想に刺激を受ける効果がある。
- 朝日トータルマネジメント(東京都足立区)
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【2】他社にはない!自社の強みを取り入れよう
習得した商品知識や流行を、どう落とし込むべきか。プランにはお客さんの要望に沿うだけではなく自社の強みを取り入れ、他社にはない魅力を感じてもらおう。独自のこだわりを理解してもらうには3つのポイントを意識しよう。
2-1 テーマを設定しよう
何にこだわった独自のプランなのか。空間全体のコンセプトがわかりやすいよう、テーマを設けよう。だが表現を抽象的にしてしまうと、イメージが湧きづらい。出来るだけ具体的にすべきだ。
- 施主が持参する好きな写真から考える。
- 最も多いテイストが一番好みだと判断し,家族構成やライフスタイルなどに合わせた間取りや動線などを考えていく。
テーマは「パリのブティック」。リビングには存在感のあるビビッドピンクの大きなアーチ、内側にはラグジュアリー感のあるウィリアム・モリスの手掛けたテキスタイルを用いた壁紙を貼り、間接照明が降り注ぐステージを作り上げている。また、ヨーロッパの街並みのようなふんだんにモールディングを施した腰壁や、さわやかなブルーのストライプの壁面が「パリのブティック」を演出している。
「アメリカンヴィンテージ」をテーマにしたことも
- ヴィリオ(福岡県北九州市)
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- 施主の24時間をシミュレーション
- その空間で過ごす人が24時間どういう気持ちで過ごすのかまで想像し、テーマを模索する。理由付けができ、お客様にもこれだけ考えてくれたと感じてもらいやすい
- エピカデザインオフィス(東京都文京区)
2-2 何を主役にするか決めよう
統一したテーマに沿っていく中で、どの箇所や建材を主役にするかも決めよう。主役をしっかり打ち出すことで、自社で重視していることをよりアピールが出来る。
- オーダーキッチンを主体に
- 自社ならではの武器であるおオリジナルのキッチンで、差別化を図る機会も増えてきた。
- 例えば、「自然素材にこだわりがある」という顧客には、杉を使った木製キッチンを提案した。ステンレスの照明をつけ、壁面には美濃焼産地のメーカーによる真っ白なタイルを貼り、明るい雰囲気に。さらにオイル塗装を施したコルクタイルの床にし、空間そのものを劇的に変化させた。
サンプル部材をお客さんに見せ、要望を取り入れながら考案していく
- アンビアンス(京都府京都市)
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- 出来るだけ広くスペースを
- 古民家改修を得意としており、特有の広さを生かした設計を手掛ける。
2間の和室を1つの大きなリビングダイニング空間に。また施主のご両親が子育てのお手伝いのために訪れるため、寝泊まりがしやすいよう宿泊スペースも設けた。
天井の梁を生かし、開放感と古い建材が両立した空間に
- 松代建設工業(長野県長野市)
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- 椅子を含めてプランニング
- 北欧の同じ家具を大切にし続ける風習を重視。特に椅子はLDKの中心に位置し、実際に座って食事をとる身近で重要な存在のため主役に考える。
- 写真を見せるだけではなく、実物を見てもらい椅子選びをサポートする。家具屋「FORESTFURNITURE-ISUKAN」、椅子を約50脚展示した紅茶専門店も展開。
- 決めた椅子に合うように、設備や壁材なども選び内装をデザインしていく。好きな色やテイストだけではなく、実物を見ながらくつろぎ方や家族団らんについてなどの生活スタイルについてもわかり、お客さんの好みを把握・反映が可能だ。
- フォレスト・オオモリ(三重県四日市)
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2-3 新築の流行も生かそう
リフォームだけではなく新築や不動産仲介も展開している会社は、他社と差別化できるチャンスだ。デザインや提案する中で、他事業で得たノウハウを活用しよう。
- 新築で人気の設計デザインや間取りを積極的に取り入れ
- 大型リフォームの際に、玄関に広々とした土間空間を作る。廊下をなくして無駄なスペースを省いた間取りを採用してきた。
- 同社では30~40代の顧客からの大型リノベ依頼も増加。新築の購入者層とかぶる点も多いため、新築で人気のプランをリフォームでも取り入れることで関心を引く
ある事例では「土間スペース」を提案。玄関からLDKまでの床をタイルにして、靴で移動できるようにした
- 大建建設(新潟県新潟市)
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