近年、コロナ禍でメンタルヘルスの不調が深刻化している。厚生労働省は、メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者(退職者含む)が9.2%を占めると調査結果を発表。10人に1人がキャリアに影響を及ぼしている。心の健康を守るために専門家とタッグを組んだり、労働環境改善に取り組む企業をリポートする。
50人以上の企業には義務化された制度も
労働安全衛生法では、企業にいくつかのメンタルケア対策が義務化されている。その一つがメンタル不調を未然に防止することを目的とした、ストレスチェック制度だ。専門家が、労働者のストレスの状況について年に1回以上検査を実施する。また事業者が医師に労働者の健康管理を行ってもらう、産業医選任制度もある。
だがこれらの制度は労働者が50人以上いる事業所のみ義務化され、50人以下の場合は努力義務となっている。
心の病で9%が休職経験
Case1 円建創 悩みに寄り添う環境整備
電話相談 365日利用可
「社員数が少ない企業だからこそ、心の健康ケアにも取り組むべき」という声を挙げるビルダーがいる。新築や公共建築、リノベーション事業を展開する円建創(島根県松江市)だ。同社は3年連続の健康経営優良法人の認定を受けるなど社員の健康配慮に力を入れている。健康診断やインフルエンザ、コロナウイルスの予防接種の受診を徹底しているだけではなく、メンタルケア対策も実施してきた。
対策は、健康経営を支援するアクサ生命のサービスを利用し、外部の専門家と連携して進めている。例えば、従業員の健康習慣を把握するアンケート調査。睡眠時間、運動ができているか、煙草や飲酒の頻度、休みが取れているかだけではなく、悩みはないかメンタル部分を問う質問もある。
ほかにも従業員は電話相談サービスも利用できる。医療のほか仕事や育児などさまざまなテーマについて、専門家が24時間365日話を聞く。
アンケート結果は全体の傾向のみアクサ生命からフィードバックを受け、会社側には誰がどのように答えたかは公開されない。電話相談も本人の希望がない限り、会社側には相談内容だけではなく電話の有無すら伝わらないほど、守秘義務が徹底されている。

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