有資格者によるアスベスト(石綿)調査の義務化まで1カ月を切り、資格取得者が急増している。調査に必要となる資格「建築物石綿含有建材調査者」の講習を行っているCERSI(一般社団法人企業環境リスク解決機構)では、2023年7月末時点で2万4840人が修了した。1万253人だった1年前から約2.5倍増加した。
資格取得者数が1年で2倍超に
一定の基準を満たす建築物のアスベストの事前調査報告が義務化されたのは、2022年4月のこと。基準には、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事や、請負金額が税込100万円以上の建築物のリフォームなどが該当する。
さらにこの10月1日より「建築物石綿含有建材調査者」の資格保有者による石綿調査が義務化される。義務化を前に、CERSIには資格取得希望者が殺到している状況だ。同機構は1週間以上かかっていた修了証の発行を最短当日に短縮することで、対応する(※)。
「今まではテストは持ち帰り、採点してから修了証書を発行していましたが、『今すぐほしい』という声があり、当日採点、発行に対応できるよう変えました」(同機構の子安伸幸理事兼事務局長)
石綿関連法(2020年)は段階的に改正された
「大防法」及び「石綿障害予防規則」の主な改正内容
資格保有者は11万3000人、「まだ少ない」
厚労省によれば、今年4月時点での同資格保有者は11万3000人いる。2022年7月末時点で約5万人だったので、こちらも倍以上に増えた。国交省調査による建設業許可業者数が47万業者で、うち調査を外注する割合などを加味すれば、厚労省試算による資格取得が必要な数(11〜12万人)に達してはいる。
一方、リフォーム会社では建設業許可を取得していない企業や個人事業主が多く、それを含めた母数はもっと多いと、子安氏は捉える。建設業許可が不要な500万円以下の工事においても、石綿の調査報告が必要とされるケースはあるからだ。
CERSI理事兼事務局長
子安伸幸氏
「10月以降は受講者が大分減るというイメージを持っていたのですが、そうでもなさそうです。まだまだ知らない人も多い。感覚としては、20万人以上が対象となるのではないでしょうか」。子安氏によれば、社員のうち一人が資格を保有するだけにとどまる会社が多いが、それだけではマンパワー不足になると予測。
「一人の人が複数現場に行って調査できるか疑問です。外注もできますが、都度、依頼するのも困難かと。そのように考えると、住宅リフォームの現地調査に携わる全ての社員が資格を保有するのが現実的かと思われます」
※訂正 |

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