最小限住宅「コアハウス」というコンセプトで東日本大震災の復興を支援する動きがある。
建築家の復興支援ネットワーク、一般社団法人アーキエイド(宮城県仙台市)の取り組みだ。
「コアハウスは、生活の必要最小限の設備だけを整えた住宅から始め、順次建て増しができるようにあらかじめ設計された住宅のことです」(広報・金森絵美氏)
アーキエイドはコアハウスを牡鹿半島の漁師に提案している。漁師にとって、住宅の再建と同様に船の購入、漁の再開が重要だ。そこで、まず船の確保を優先し、住宅を必要最小限にとどめる点でコアハウスは有効だ。コアハウスは、漁師の生活スタイルに合わせた設計。勝手口とキッチンをつなぎ、また、外から直接洗面室に入ることができるように脱衣所と縁側をつないでいる。
コアハウスのモデルハウス外観。14.5坪に、リビング、キッチン、浴室、洗面所の最小限の設備を置いている。現在は寺院の社務所としても使用されている。
壁はパネル化した落とし板を使用。「板倉構法」と呼ばれる、無垢の天然材を使用した造りだ。
リビングに隣接したキッチン。奥はすぐ勝手口になっている。ヒアリングを重ね、漁師の生活スタイルに適した配置にした。
「モデルハウスは14.5坪で約750万円。坪単価では一般的なハウスメーカーよりやや高い計算ですが、最小限の建物になりますので、初期費用を抑えることができます」(金森氏)
課題もある。アーキエイドが現在提案している牡鹿半島では、高台への集団移転が計画されているためすぐに建てることができない。コアハウスは、2014年の夏ごろから建設を見込んでいる。
「今後は、コアハウス建築を希望する消費者に速やかに提供するために、地元工務店と提携を進めていく計画です」(金森氏)
なお、コアハウスは2013年のグッドデザイン賞100に選出されるなど、全国的にも注目されている。宮城県石巻市にあって、被災者に安心な住まいを提供する動きは始まったばかりだ。仮設住宅の退去期限が迫る中、早急な家づくりが求められている。

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