4. リプレイスメント
~リプレイスメントとは?~
水まわりや窓などの設備の単品交換工事のこと
増税後の経営安定化のカギ
リフォーム市場のトレンドを紹介する本企画。4回目のキーワードは「リプレイスメント」。比較的少額な設備・建材交換工事が今、リフォーム市場拡大のために見直されている。
住設機器の単品交換が今見直されている
高額リフォームの停滞
2014年度決算で住友不動産の一棟まるごとパッケージ、「新築そっくりさん」の売り上げが初めて減少に転じた。理由は主に3つある。1つは消費増税による景気の後退。2つ目が、老後の金銭的不安。3つ目が、1000万円超もの工事を必要とする住宅がそこまで多いというわけではないということだ。
住友不動産「新築そっくりさん」の受注棟数推移
一方で、メンテナンスやリニューアルに強い積水ハウスは好調に業績を拡大。前期に売上高で業界トップに輝いた。
そもそも、リフォーム工事の75%がリプレイスメント需要だ。そのため、リフォームビジネスの安定的な成長にはリプレイスメントが欠かせない鍵になりそうだ。
リフォーム工事規模別市場規模
リプレイスメントの旗手
代表的なリプレイスメント企業がニッカホームだ。同社の前期年商は208億円。年間の工事件数は4万800件で平均客単価は50万円と少額な工事が非常に多い。同社は、過去5年間でも右肩上がりの成長を続けており、さらに、2014年12月期までの過去3年間は前期比で115%以上のペースで成長してきた。交換需要を拾い着実に右肩上がりを継続している。
ニッカホームの年商推移
異業種としては、家電量販店のエディオンが挙げられる。同社の前期リフォーム売上高は419億円。同社は、「ぷちdeリフォ」という、トイレやレンジフード、内窓などの1日で工事ができる交換リフォーム商品を中心に販売。年間7万件の工事を行っている。
さらには、ヤマダ電機や大手総合スーパーのイオンなども、店舗に住設機器の展示スペースを設けてリプレイスメントを推進している。
グリー、アマゾン参入
住設の交換事業には、今やIT企業も参入している。
『ネット系』からの参入組で存在感を示しているのが、リフォームサイト「リノコ」だ。これはソーシャルゲーム大手のグリーの運営サイトで、現在月商2億円。サイト上に、内装から水まわり、外装など部位別に価格を表示して販売している。全国に協力会社を持ち、日本のほぼすべてのエリアに対応している。
また、ネット通販大手のアマゾンも昨年6月から施工付の商品販売を開始している。積水ハウスや大和ハウスリフォームなどのリフォーム事業者に、専用ストアに出品してもらう方式で商品を販売。昨年12月には商品点数32万点を超えた。
アマゾンもリニューアル型のリフォーム商品の販売を本格化した
アメリカは交換工事が主力
リフォーム先進国のアメリカはどうか。アメリカではリプレイスメント企業が圧倒的な売り上げを持っている。
例えば、フルサービスを提供するアメリカのトップ企業が年商51億円なのに対し、リプレイスメント企業のトップは556億円もある。しかも、上位5社すべてが、窓の交換を手掛ける企業だ。アメリカでは圧倒的に改修や交換がリフォームの主役なのだ。
消費増税が来年4月に予定される今、高額リフォームに比べてニーズが高いリプレイスメント分野を見直し、安定経営を目指す必要があるのではないだろうか。
アメリカのリフォーム会社ランキング
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